渡し船開業ガイド│貨物定期航路事業の届出(許可)

渡し船
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海上運送法では、一定の航路に船舶を就航させて一定の日程表に従って運送する旨を公示して行う船舶運航事業定期航路事業とし、このうち旅客船(13人以上の旅客定員を有する船舶)により人を運送するもの旅客定期航路事業として定義しています。

貨物定期航路事業とは、この旅客定期航路事業に該当しない定期航路事業を指し、具体的には主に貨物を運送するもの(貨物船)又は非旅客船(12人以下の旅客定員を有する船舶)により人を運送する定期航路事業(渡し船)がこれに該当します。

海上運送法はこのように非常に複雑な体系で構成されているため、ただでさえ馴染みの浅い船舶運航事業に関する規定を、より一層難解に感じさせる要因となっています。

そこで本稿では、これから貨物定期航路事業(主に渡し船)をはじめようとする皆さまに向けて、貨物定期航路事業に関する基礎知識や必要となる手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

貨物定期航路事業の種別

貨物定期航路事業一覧
貨物定期航路事業一覧

貨物定期航路事業は、人の運送をするかしないかによりさらに分岐します。人の運送をする貨物定期航路事業は、そのまま「人の運送をする貨物定期航路事業」と呼ばれていますが、これを内航(国内)で行うか外航(国外)で行うか特定の範囲の人を対象にして行うかにより、さらにさらに分岐します。

早い話しが単に「貨物定期航路事業」というときは貨物船、「人の運送をする貨物定期航路事業」というときは小規模な渡し船をイメージするようにしてください。

なお、内航貨物船事業については、海上運送法の特別法にあたる内航海運業法にほとんどの規定が設けられているため、本稿ではおもに人の運送をする貨物定期航路事業について解説させていただきます。

貨物定期航路事業の届出

人の運送をする貨物定期航路事業を営もうとする者は、航路ごとに、その事業の開始の日の30日前までに、(事業計画に記載された航路の拠点を管轄する地方運輸局長を経由して)国土交通大臣にその旨を届け出るものとされています。これは届け出た事項を変更しようとするときも同様です。

また、貨物定期航路事業がその事業を廃止したときは、航路ごとに、廃止の日から30日以内に、(事業計画に記載された航路の拠点を管轄する地方運輸局長を経由して)国土交通大臣にその旨を届け出るものとされています。

事業開始の届出

人の運送をする内航貨物定期航路事業の開始の届出をしようとする者は、以下の事項を記載した人の運送をする内航貨物定期航路事業開始届出書を所轄地方運輸局長に提出するものとされています。

  • 住所及び氏名
  • 事業計画
    • 航路の起点、寄港地、終点及びそれら相互間の距離(航路図をもって明示すること)
    • 使用船舶(予備船を含む)の明細(第一号様式)
    • 事業に使用する係留施設、水域施設(泊地等)、陸上施設(乗降施設等)その他の輸送施設(使用旅客船を除く)の概要
  • 運航日程及び運航時刻
  • 運航開始予定期日
  • 運送の需要者の住所及び氏名並びに運送しようとする人の範囲(特定の範囲の人の運送をする内航貨物定期航路事業)

安全管理規程

人の運送をする内航貨物定期航路事業者は、輸送の安全を確保するために遵守すべき以下の事項に関して必要な内容を記載した安全管理規程を定め、(所轄地方運輸局長に提出することにより)国土交通大臣に届け出る必要があります。(これを変更しようとするときも同様です。)

  • 輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項
    • 基本的な方針に関する事項
    • 関係法令及び安全管理規程その他の輸送の安全の確保のための定めの遵守に関する事項
    • 取組に関する事項
  • 輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項
    • 組織体制に関する事項
    • 勤務体制に関する事項
    • 経営の責任者による輸送の安全の確保に係る責務に関する事項
    • 安全統括管理者の権限及び責務に関する事項
    • 運航管理者の権限及び責務に関する事項
  • 輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の方法に関する事項
    • 情報の伝達及び共有に関する事項
    • 船舶の運航の管理に関する事項
      • 運航計画、配船計画及び配乗計画の作成、改訂及び臨時変更の際における安全性の確認に関する事項
      • 運航を中止すべき気象及び海象の条件並びに発航中止の指示に関する事項
      • 気象通報、旅客数その他の船舶の運航の管理のため必要な情報の収集及び伝達に関する事項
      • 航行経路、航海速力等航行の安全を確保するため必要な事項を記載した運航基準図の作成、船舶への備付け等に関する事項
      • 危険物その他の旅客の安全を害するおそれのある物品の取扱いに関する事項
      • 旅客の乗下船又は航送する自動車の積込み及び陸揚げ並びに船舶の離着岸の際における安全性の確保のため必要な作業方法に関する事項
      • 船舶その他の輸送施設の点検及び整備に関する事項
      • 旅客等が遵守すべき事項の周知に関する事項
    • 事故、災害等の防止対策の検討及び実施に関する事項
    • 事故、災害等が発生した場合の対応に関する事項
    • 内部監査その他の事業の実施及びその管理の状況の確認に関する事項
    • 教育及び研修に関する事項
    • 輸送の安全に係る文書の整備及び管理に関する事項
    • 事業の実施及びその管理の改善に関する事項
  • 安全統括管理者の選任及び解任に関する事項
  • 運航管理者の選任及び解任に関する事項

安全統括管理者

人の運送をする内航貨物定期航路事業者は、以下の要件をすべて満たす者のうちから安全統括管理者を選任し、又は解任したときは、遅滞なくその旨を(所轄地方運輸局長を経由して)国土交通大臣に届け出る必要があります。(解任したときも同様です。)

  • 一般旅客定期航路事業の安全に関する業務の経験の期間が通算して3年以上である者又は地方運輸局長がこれと同等以上の能力を有すると認めた者であること
  • 国土交通大臣の命令により解任され、解任の日から2年を経過しない者でないこと

運航管理者

人の運送をする内航貨物定期航路事業者は、以下のいずれかに該当する18歳以上の者であって、国土交通大臣の命令により解任された日から2年を経過しない者でないもののうちから運航管理者を選任し、遅滞なくその旨を(所轄地方運輸局長を経由して)国土交通大臣に届け出る必要があります。(解任したときも同様です。)

  • 船舶の運航の管理を行おうとする一般旅客定期航路事業に使用する船舶のうち最大のものと同等以上の総トン数を有する船舶に船長として3年又は甲板部の職員として5年以上乗り組んだ経験を有する者
  • 船舶の運航の管理を行おうとする一般旅客定期航路事業と同等以上の規模の人の運送をする内航貨物定期航路事業における船舶の運航の管理に関し3年以上の実務の経験を有する者
  • 船舶のみを使用して人の運送をする内航貨物定期航路事業を営む者が選任する運航管理者にあっては、船舶に船舶職員及び小型船舶操縦者法の規定により船長として乗り組むことができる資格を有する者であること
  • 一般旅客定期航路事業における船舶の運航の管理に関し上記の者と同等以上の能力を有すると地方運輸局長が認めた者であること

賃率表、運賃及び料金等の公示

貨物定期航路事業者は、届け出た航路により貨物を運送するとき(又は賃率表を変更しようとするとき)は、賃率表を定め、これを実施する前に公示する必要があります。

ただし、内航貨物定期航路事業にあっては、石炭、コークス、鉱石、 塩、砂糖、セメント、肥料、屑ゴム、木材、穀類、銑鉄、鋼材、わら工品その他主としてばら積又は満船積を通例とする貨物並びに自動車航送に係る自動車及びその積載貨物は届出の対象外とされています。

また、人の運送をする貨物定期航路事業(特定の者の需要に応じ、特定の範囲の人の運送をする貨物定期航路事業を除く)を営む者は、旅客、手荷物及び小荷物の運賃及び料金並びに自動車航送に係る運賃及び料金並びに運送約款を定め、これを実施する前に、少なくとも航路の起点、寄港地及び終点の営業所及び発着所に見やすいように掲示し、かつ航路に就航する船舶に備え付けて、要求により何人でも閲覧できるようにして公示を行う必要があります。(これらを変更しようとするときも同様です。)

渡船事業開業サポート

当事務所では、貨物定期航路事業の届出をはじめ、渡船事業開業手続きの代行を全国から承っております。法令適合性の事前確認から、地方運輸局担当者との協議調整、事業計画・運送約款等を含む書類の作成、必要書類の収集及び申請の代行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。

また、別料金ではありますが、停泊場所探しのサポートや、事業再構築補助金をはじめとする各種補助金の交付申請のサポートも承っております。

弊所は「話しの分かる海事代理士・行政書士事務所」を標榜しているため、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信を持っています。渡船事業開業手続きでお困りの際は、当事務所までどうぞお気軽にご相談ください。

手続き登録免許税報酬額
貨物定期航路事業の届出無し132,000円~
※税込み

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