船員派遣事業の許可基準について
船員派遣を平たく言えば、自ら雇用する常勤の船員を、派遣先となる事業者に派遣し、派遣先の指揮命令下において船員として労働させる事業であって、派遣先が船員を直接雇用することを前提とするものを除いたものをいいます。
船員派遣を事業として行うためには国土交通大臣の許可を受ける必要がありますが、必要となる手続きは複雑かつ煩雑(はんざつ)で、クリアすべきハードルも相当高く設定されています。
そもそも特殊な船員の世界にあって、ことさら耳馴染みのない船員派遣事業ですから、実際に船員派遣事業をはじめようとする際は、まずは情報収集の段階からつまづかれる方も多いのではないかと思われます。
そこで本稿では、これから船員派遣事業をはじめようと検討されている皆さまに向けて、船員派遣事業許可を取得するために求められる基準について、詳しく解説していきたいと思います。
目 次
申請方法
船員派遣事業を行おうとする場合は、以下の書類を事業主の主たる事務所を管轄する地方運輸局に提出することにより申請を行います。
なお、この許可は、国土交通省における審査及び実地調査等、交通政策審議会の意見聴取の手続を経て行われるため、許可申請は十分な時間的余裕を持って行う必要があります。
- 船員派遣事業許可申請書(第3号様式)
- 船員派遣事業を行う事業所ごとの船員派遣事業計画書(第4号様式)
- 定款又は寄附行為(法人)
- 登記事項証明書(法人)
- 申請者・役員・船員派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
- 船員派遣事業を行う事業所ごとの個人情報適正管理規程
- 最近の事業年度(納税期)における貸借対照表及び損益計算書の写し
- 最近の事業年度(納税期)における法人税(法人)又は所得税(個人)確定申告書の写し
- 最近の連結事業年度における連結法人税の確定申告書の写し(連結納税制度を採用している場合)
- 最近の納税期における法人税(法人)又は所得税(個人)の納税証明書
- 預金残高証明書(納税期日前のもの)(個人)
- 事業所の図面、写真及び使用権を証する書類
履歴書 | 氏名、生年月日、現住所、職歴(船員雇用管理歴がある場合はその履歴)、賞罰、役職員への就任解任の状況の記載があるもの |
貸借対照表及び損益計算書(法人) | 原則として税務署に提出したものに限られるが、次の場合には、それぞれ書類(監査役、公認会計士又は監査法人の証明を受けたもの)の提出に代えることができる。 ①最近の事業年度における決算が終了している場合は、その決算に係る貸借対照表及び損益計算書 ②設立後最初の決算期を終了していない法人である場合は、会社(法人)成立時の貸借対照表 |
貸借対照表及び損益計算書(個人) | ①青色申告の場合(簡易な記載事項の損益計算書のみ作成する場合を除く)は、 最近の納税期における所得税法施行規則第65条第1項第1号の貸借対照表及び損益計算書(所得税青色申告決算書(一般用)) ②白色申告又は青色申告で簡易な記載事項の損益計算書のみ作成する場合は、不動産登記簿謄本の写し及び固定資産税評価額証明書 |
確定申告書全般 | 税務署の受付印があるもの(電子申告の場合は、受付印の代わりに、e-Taxの受信通知「メール詳細」を印刷したものを添付 |
法人税の確定申告書 | 法人税法施行規則別表1「各事業年度の所得に係る申告書」及び別表4「所得の金額の計算に関する明細書」 |
連結法人税の確定申告書 | 法人税法施行規則別表1の2「各連結事業年度の連結所得に係る申告書」 及び同申告書添付書類「個別帰属額等の一覧表」 |
納税証明書 | 国税通則法施行規則別紙第9号書式(その2)所得金額用 |
事業所の使用権を証する書類 | 所有している場合は建物の登記事項証明書、借りている場合は建物の賃貸借契約書の写し、転貸借の場合は原契約書、転貸借契約書及び所有者の承諾書の写し |
許可申請書には、手数料として[142,800円+71,300円×(船員派遣事業を行う事業所数-1)]の収入印紙を貼付する必要があります。(後述する登録免許税とは異なります)
事業許可までの流れ
申請書類の受付け後、国土交通本省に書類が送付され、国土交通本省においてその内容が精査され、国土交通大臣から交通政策審議会に諮問します。
諮問に対する交通政策審議会からの答申を踏まえ、国土交通大臣が許可又は不許可を決定し、許可の場合は許可証、不許可の場合は不許可通知書を申請者に対して交付します。事業者は、交付された許可証を受領することにより事業を開始します。
また、許可基準を満たしていること等を確認するために、事業の実施を予定する事業所に対して実地調査が行われる場合があります。
登録免許税の納付
船員派遣事業の許可については、許可を受けた者に対して一律9万円の登録免許税が課せられます。許可を受けた場合は、許可を受けた日から1ヶ月を経過する日までの間に、銀行、郵便局その他の代理店又は麹町税務署において同税務署あてに現金で納付します。
納付後は、別添の様式「領収証書貼付書」に領収証書を貼り付け、管轄地方運輸局に提出します。
欠格事由
許可の前提として、許可を受けることができない事由が定められており、以下のいずれかの事由に該当する者は、船員派遣事業者としての適格性を欠く者として、許可を受けることができません。
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は労働基準法第4条・第5条、船員法第32条・第36条第1項・第2項・第47条第1項第4号(第41条第1項第2号の規定に係る部分に限る)・第53条第1項・第2項・第62条第1項・第65条の2第3項・第65条の3第1項・第2項・第66条・第67条第1項・第67条の2第1項・第69条・第74条第1項・第2項・第78条、第85条第1項・第2項・第86条第1項・第87条・第88条・第88条の2の2第1項・第88条の3第1項・第88条の4第1項、船員職業安定法第15条第3項・第16条第1項(求人者に係る部分に限る)・第2項・第19条(船員の募集を行う者が船舶所有者である場合に限る)・第21条(船員の募集を行う者が船舶所有者である場合に限る)・第104条(船員の募集を行う者(船舶所有者である場合に限る)に係る部分に限る)、最低賃金法第4条第1項、労働施策総合推進法第30条の2第1項・第2項、男女雇用機会均等法第5条〜第7条・第9条第1項〜第3項・第11条第1項・第2項・第11条の3第1項・第12条・第13条第1項、育児・介護休業法第6条第1 項・第9条の3第1項・第10条・第12条第1項・第16条・第16条の3第1項・第16条の6第1項、第19条第1項・第20条の2・第21条第2項・第23条第1項〜第3項・第23条の2・第25条第1項・第2項・第26条の規定、若しくは暴力団対策法の規定(同法第50条(第2号に係る部分に限る)及び第52条の規定を除く)により、若しくは刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2 、第222条若しくは第247条の罪、暴力行為等処罰法の罪若しくは出入国管理法第73条の2第1項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 健康保険法第208条、第213条の2若しくは第240条第1項、船員保険法第156条、第159条若しくは第160条第1項、労働者災害補償保険法第51条前段若しくは第54条第1項(同法第51条前段の規定に係る部分に限る)、厚生年金保険法第102条、第103条の2若しくは第104条第1項(同法第102条又は第103条の2の規定に係る部分に限る)、労働保険徴収法第46条前段若しくは第48条第1項(同法第46条前段の規定に係る部分に限る)又は雇用保険法第83条若しくは第86条(同法第83条の規定に係る部分に限る)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 精神の機能の障害により船員派遣事業を的確に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切にできない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 船員職業安定法第103条第1項の規定により船員派遣事業の許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 船員職業安定法第103条第1項又は第3項の規定により船員派遣事業の許可を取り消された者が法人である場合において、取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の役員であった者で、取消しの日から起算して5年を経過しないもの
- 船員職業安定法第103条第1項又は第3項の規定による船員派遣事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に船員職業安定法第62条第1項の規定による船員派遣事業の廃止の届出をした者(船員派遣事業の廃止について相当の理由がある者を除く)で、届出の日から起算して5年を経過しないもの
- 上記に規定する期間内に船員職業安定法第62条第1項の規定による船員派遣事業の廃止の届出をした者が法人である場合において、上記の通知の日前60日以内にその法人(船員派遣事業の廃止について相当の理由がある法人を除く)の役員であった者で、届出の日から起算して5年を経過しないもの
- 暴力団員等
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が上記2から9又は11のいずれかに該当するもの
- 法人であって、その役員のうちに上記1から10のいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
許可基準
申請者には、派遣船員に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力、個人情報を適正に管理し派遣船員等の秘密を守るために必要となる措置及び船員派遣事業を的確に遂行するに足りる能力が要求されており、これらの基準に適合していると認められなければ、船員派遣事業の許可を受けることはできません。
雇用管理能力
派遣船員を雇用する者と指揮命令する者が分離するという特性を考慮し、申請者には、派遣船員に対する適切な雇用管理能力が要求されています。
派遣元責任者
船員派遣事業者は、船員派遣事業を行う事業所ごとに、自己の雇用する者のうち、以下のいずれかの経験を有するものの中から、派遣船員の雇用管理を適正に行い得る者として、専属の派遣元責任者選任して配置する必要があります。
- 成年に達した後、3年以上の船員雇用管理の経験を有する者
- 成年に達した後の船員雇用管理の経験と派遣船員としての業務の経験とを合わせた期間が3年以上の者(船員雇用管理の経験が1年以上あること)
- 成年に達した後の船員雇用管理の経験と船員の職業経験とを合わせた期間が5年以上の者(船員雇用管理の経験が1年以上あること)
- 成年に達した後、船員職業安定行政又は船員労働基準行政に3年以上の経験を有する者成年に達した後、船員職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
- 成年に達した後、船員労務供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
派遣元責任者は、派遣船員100人ごと1人以上を選任する必要がありますが、監査役は同一の法人又はその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人を兼ねることができないことから、監査役を派遣元責任者として選任することはできません。
また、派遣元責任者についても、選任することができない欠格事由が設けられており、以下のいずれかの事由に該当する者を派遣元責任者として専任することはできません。
- 未成年者及び心身の故障により派遣元責任者の職務を的確に遂行することが できない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は労働基準法第4条・第5条、船員法第32条・第36条第1項・第2項・第47条第1項第4号(第41条第1項第2号の規定に係る部分に限る)・第53条第1項・第2項・第62条第1項・第65条の2第3項・第65条の3第1項・第2項・第66条・第67条第1項・第67条の2第1項・第69条・第74条第1項・第2項・第78条、第85条第1項・第2項・第86条第1項・第87条・第88条・第88条の2の2第1項・第88条の3第1項・第88条の4第1項、船員職業安定法第15条第3項・第16条第1項(求人者に係る部分に限る)・第2項・第19条(船員の募集を行う者が船舶所有者である場合に限る)・第21条(船員の募集を行う者が船舶所有者である場合に限る)・第104条(船員の募集を行う者(船舶所有者である場合に限る)に係る部分に限る)、最低賃金法第4条第1項、労働施策総合推進法第30条の2第1項・第2項、男女雇用機会均等法第5条〜第7条・第9条第1項〜第3項・第11条第1項・第2項・第11条の3第1項・第12条・第13条第1項、育児・介護休業法第6条第1 項・第9条の3第1項・第10条・第12条第1項・第16条・第16条の3第1項・第16条の6第1項、第19条第1項・第20条の2・第21条第2項・第23条第1項〜第3項・第23条の2・第25条第1項・第2項・第26条の規定、若しくは暴力団対策法の規定(同法第50条(第2号に係る部分に限る)及び第52条の規定を除く)により、若しくは刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2 、第222条若しくは第247条の罪、暴力行為等処罰法の罪若しくは出入国管理法第73条の2第1項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 健康保険法第208条、第213条の2若しくは第240条第1項、船員保険法第156条、第159条若しくは第160条第1項、労働者災害補償保険法第51条前段若しくは第54条第1項(同法第51条前段の規定に係る部分に限る)、厚生年金保険法第102条、第103条の2若しくは第104条第1項(同法第102条又は第103条の2の規定に係る部分に限る)、労働保険徴収法第46条前段若しくは第48条第1項(同法第46条前段の規定に係る部分に限る)又は雇用保険法第83条若しくは第86条(同法第83条の規定に係る部分に限る)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 船員職業安定法第103条第1項の規定により船員派遣事業の許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 船員職業安定法第103条第1項又は第3項の規定により船員派遣事業の許可を取り消された者が法人である場合において、取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現にその法人の役員であった者で、取消しの日から起算して5年を経過しないもの
- 船員職業安定法第103条第1項又は第3項の規定による船員派遣事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に船員職業安定法第62条第1項の規定による船員派遣事業の廃止の届出をした者(船員派遣事業の廃止について相当の理由がある者を除く)で、届出の日から起算して5年を経過しないもの
- 上記に規定する期間内に船員職業安定法第62条第1項の規定による船員派遣事業の廃止の届出をした者が法人である場合において、上記の通知の日前60日以内にその法人(船員派遣事業の廃止について相当の理由がある法人を除く)の役員であった者で、届出の日から起算して5年を経過しないもの
- 暴力団員等
★船員雇用管理の経験
船員雇用管理の経験とは、船員に係る人事又は労務の担当者(事業主、役員、支店長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む)であった経験をいいます。
併せて船員派遣事業者は、派遣元責任者が不在の場合に備えて、臨時の職務代行者をあらかじめ選任する必要があります。
船員派遣元事業主に関する判断
船員派遣元事業主(法人の場合はその役員を含む)は、船員保険の適用等派遣船員の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待し得るものであることが要求されています。
教育訓練に関する判断
船員派遣事業者は、派遣船員に係る教育訓練に関する計画を適切に策定し、及び教育訓練の実施について責任者を配置して、教育訓練を行うに適した施設、設備等を用いて教育訓練を行う等能力開発体制を確保する必要があります。
個人情報の適正管理
船員派遣事業者は、派遣船員等の個人情報を適正に管理し秘密を守るための措置を講ずる必要がありますが、この基準については、船員派遣事業者が作成する個人情報適正管理規程が、以下の要件を満たす内容となっていることにより判断されます。
- 派遣船員等の個人情報(以下、個人情報)を適正に管理し、及び派遣船員等の秘密を守るための事項を定めていること
- 派遣船員等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確に定められていること
- 業務上知り得た派遣船員等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育を実施することが定められていること
- 派遣船員等から求められた場合の個人情報の開示(個人に対する評価に関する情報を除く)又は訂正(削除を含む)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつその規程について派遣船員等への周知がなされることが定められていること
- 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項について、苦情処理の取扱責任者として派遣元責任者を定める等により、苦情の処理の取扱いについての事業所内の体制が明確にされ、かつ、苦情を迅速かつ適切に処理することが定められていること
個人情報適正管理規程
個人情報適正管理規程には、派遣船員等の個人情報を適正に管理し、及び派遣船員等の秘密を守るために、以下の事項を定める必要があります。
- 個人情報適正管理規程について、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させること
- 本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して、派遣就業の機会を与えないことその他の不利益な取扱いをしないこと
- 派遣船員の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で個人情報を収集することとし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠な場合(船員の希望職務、希望勤務地、有する能力・資格など適切な派遣先を選定する上で必要な場合又は給与事務や社会保険、雇用保険、船員保険及び労働者災害補償保険(以下、社会保険等)の手続上必要な場合等)であって、収集目的を示して本人から収集する場合を除いて、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想、信条及び労働組合等への加入状況を収集してはならないこと
- 個人情報を収集する際には、本人から直接収集すること(本人以外の者から収集する場合は、本人の同意の下で適法かつ公正な手段により収集すること)
- 保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合を除いて、個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限ること
- 事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関し、以下の措置を適切に講ずるとともに、派遣船員等からの求めに応じ、措置の内容を説明すること
- 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置
- 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置
- 収集目的に照らして保管する必要がなくなった(本人からの破棄や削除の要望 があった場合を含む)個人情報を破棄又は削除するための措置
- 事業主等が、派遣船員等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行うこと
人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項 | 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険等の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く)及び容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報等 |
思想、信条 | 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書等 |
労働組合等への加入状況 | 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報 |
財産的基礎
安定的な海上労働力の供給という面からも、船員派遣事業が突然倒産したり、事業主が破産して失踪してしまうことは好ましいことではありません。このため船員派遣事業の許可を申請しようとする者には、当初から一定の財産的基礎を確保することが求められています。
この基準は厳しく、開業前からそれなりの資産を留保する必要があることから、船員派遣事業の許可を受ける上で、高いハードルのひとつとなっています。
基準資産額
資産の総額(繰延資産及び営業権を除く)から負債の総額を控除した額を基準資産額といいますが、許可を受けるためには、この基準資産額が、1,000万円に船員派遣事業を行う事業所の数を乗じた(掛け算した)額以上であることが求められます。
基準資産額≧1,000万円✕事業所の数
ただし、租税特別措置法第42条の6第1項(中小企業投資促進税制)による特別 償却を行った場合、基準資産額については、特別償却を行わなかったものとして算出することができます。この場合、特別償却を行った資産について、期末帳簿価額と特別償却をしなかった場合の期末帳簿価額の差額を算出し、この差額を資産総額に加算して、基準資産額を算出することとし、以下の書類を提出します。
- 特別償却を行った事業年度における法人税の確定申告書(法人税法施行規則別表1「各事業年度の所得に係る申告書」、別表4「所得の金額の計算に関する明細書」及び別表16(1)「旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」又は別表16(2)「旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」)の写し
- 特別償却を行った事業年度の法人税の納税証明書(国税通則法施行規則別紙第9号書式(その2)所得金額用)
- 特別償却を行った事業年度における特別償却の付表(2)「中小企業等又は中小連結法人が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表(国税庁法令解釈通達「租税特別措置法による特別償却の償却限度額の計算に関する付表の様式について」様式2)の写し
- 直近の事業年度における「固定資産の取得及び処分並びに減価償却費の明細書」 又は「固定資産台帳」の写し
- 特別償却をしなかった場合の期末帳簿価額の試算書(監査役、公認会計士又は監査法人に証明を受けたもの)
基準資産額は、上記の基準を満たしているだけでは足らず、負債の総額の7分の1以上である必要があります。
基準資産額≧負債の総額÷7
このうち、教育訓練の機会の確保の観点から、教育訓練のために既に利用されているか1年以内に利用することが確実であると認められる船舶、施設又は機器等に投資を行った結果、上記の基準を満たさなくなった場合は、負債の総額からその船舶、施設又は機器等に要した金額を控除して算定することができます。
上記の「船舶、施設又は機器等に要した金額」に該当するのは、派遣元 事業主が自ら雇用する派遣船員を主たる対象として行う教育訓練に必要な船舶の建造、購入若しくは改造、土地の購入又は教室、実習場等の建物の新設若しくは増改築に要した金額及び当該教育訓練に必要な機器・備品等の購入に要した金額であって、貸借対照表の「有形固定資産」として記載されている金額に限られます。
ただし、その金額が派遣船員の教育訓練に必要な船舶の建造等のために金融機関等から借入した借入金の金額よりも大きい場合は、貸借対照表の「借入金」として記載されている金額のうち、派遣船員の教育訓練に必要な船舶の建造等に要した金額に限られます。
また、白色申告又は青色申告で簡易な記載事項の損益計算書のみ作成する場合 は、派遣船員の教育訓練に必要な船舶の建造等に係る金額を「船舶、施設又は機器等に要した金額」とします。
なお、「船舶、施設、機器等に要した金額」の確認のために、申請者は船員派遣事業計画書に記載した上で、以下の書類を添付する必要があります。
- 売買契約書等の写し及び領収書の写し(船舶、土地又は建物の購入)
- 請負契約書等の写し及び領収書の写し(船舶又は建物の建造、新設又は改造若しくは増改築)
- 領収書の写し等事実を証する書類(機器・備品等の購入)
- 上記の書類に加えて、次のいずれかの書類
- 「固定資産の取得及び処分並びに減価償却費の明細書」 又は「固定資産台帳」の写し及び法人税法施行規則別表16(1)「旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」又は別表16(2)「旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」の写し等事実を証する書類(法人)
- 金融機関等との間で締結した借入金に関する契約書の写し及び借入金の残高証明書の写し並びに貸借対照表の「借入金」の内訳等当該事実を証する書類(金融機関等から借入した借入金の金額よりも大きい場合)
- 「固定資産の取得及び処分並びに減価償却費の明細書」 又は固定資産台帳の写し等当該事実を証する書類(青色申告(簡易な記載事項の損益計算書のみ作成する場合を除く)を行った個人)
事業資金
上記の基準資産額のほか、事業資金として、自己名義の現金及び預金の額が、800万円に事業主が船員派遣事業を行う事業所の数を乗じた額以上である必要があります。
事業資金≧800万円
増資について
増資により基準資産額を増額しようとするときは、増資に関して監査役、公認会計士又は監査法人の証明を受ける必要があります。
組織的基礎
船員派遣事業を的確かつ安定的に遂行するためには、財産的基礎のほかに、組織的基礎や事業に適した事業所の確保等一定以上の事業遂行能力が要求されます。
組織的基礎としては、船員派遣元事業主内において、船員派遣事業に係る指揮命令の系統が明確であり、指揮命令系統が複数となるなど指揮命令に混乱の生ずるようなものではないことが求められています。
事業所に関する基準
事業所については、事業に使用し得る面積が、原則として概ね20㎡以上あるほか、位置、設備等からみて、船員派遣事業を行うのに適切であることが要求されています。
ただし、派遣元責任者及び職務代行者の数が2人の場合にあっては、概ね10㎡以上 でも差し支えないものとされています。
その他の基準
船員派遣事業において事業停止命令を受けた者が、その停止期間中に、許可を受けようとするものではないことその他船員派遣事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであることが求められています。
船員派遣事業許可申請サポート
弊所では、全国各地にわたり、船員派遣事業許可申請の代行を承(うけたまわ)っております。事前の基準調査から、書類の作成、関連機関との調整、申請の代行及び現地確認の同行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。船員派遣事業に関する許可の取得でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
船員派遣事業開業の際のご相談はお気軽に♬
全国対応可能です。
☎平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!
06-6415-9020 または 090-1911-1497
メールでのお問い合わせはこちら。