マグロでも分かる船員法の解説⑩【就業規則等編】

船員法は、船員の雇入契約や給料、労働時間、有給休暇などを定めた法律であり、一般労働者で言うところの、労働基準法にあたる法律です。
船員労働には、長時間陸上から孤立し、「労働」と「生活」とが一致した24時間体制の就労があり、かつ、常に動揺にさらされる船内では、危険な作業をともなうなどの特殊性があることから、労働基準法とは異なる規律が必要です。そのため、船員には、厚生労働省が所管する労働基準法ではなく、国土交通省が所管する船員法が適用されます。
他方、一般社会において船員法を意識する機会はほとんどなく、改めてこれを検索しようにも、そもそも詳しく解説した文献はほとんど存在していません。
そこで当サイトでは、「マグロでも分かる海事法令」シリーズとして、「船員法」について深掘りした解説を行うことにしました。本編では、船員の「就業規則等」について解説しています。条文こそ少ないですが、絶対的記載事項や相対的記載事項の違い等、船員労務における重要分野なので、しっかりと確認するようにしてください。
★船員法の構成
- 第1章 – 総則
- 第2章 – 船長の職務及び権限
- 第3章 – 紀律
- 第4章 – 雇入契約等
- 第5章 – 給料その他の報酬
- 第6章 – 労働時間、休日及び定員
- 第7章 – 有給休暇
- 第8章 – 食料並びに安全及び衛生
- 第9章 – 年少船員
- 第9章の2 – 女子船員
- 第10章 – 災害補償
- 第11章 – 就業規則
- 第11章の2 – 船員の労働条件等の検査等
- 第11章の3 – 登録検査機関
- 第12章 – 監督
- 第13章 – 雑則
- 第14章 – 罰則
- 附則
目 次
就業規則
就業規則とは、企業において使用者が定める、その企業における労働条件等に関する具体的細目をまとめた規則集のことをいいます。労働基準法にも、「就業規則」に関する定めがありますが、船員法においては、船員労務の特殊性を反映した内容となっています。
就業規則の作成及び届出
常時10人以上の船員を使用する船舶所有者は、以下の事項について就業規則を作成し又は変更したときは、これを国土交通大臣に届け出る必要があります。
なお、「常時10人以上」とは、「常態として10人以上の船員を使用している」という意味であり、常勤であるか非常勤であるかは問われません。また、季節営業であっても、その営業期間中常に10人以上の船員を使用していれば、これに該当することになります。
- 給料その他の報酬
- 決定及び支払の方法、支払の時期並びに昇給の基準
- 労働時間
- 基準労働期間、休息時間、当直割及び当直の交代方法並びに交代乗船制等特殊の乗船制をとる場合における乗船制
- 休日及び休暇
- 時期、方法及び場所
- 定員
- 海員の職務及び員数並びに船舶の名称、総トン数、主機の出力、航行区域又は従業区域、就航航路又は操業海域及び用途
上記の項目は、「就業規則の絶対的記載事項」といわれるものですが、これらの事項に加え、船舶所有者は、以下の事項について就業規則を作成したとき又はこれを変更したときは、同様にこれを国土交通大臣に届け出る必要があります。(相対的記載事項)
- 食料並びに安全及び衛生
- 被服及び日用品
- 陸上における宿泊、休養、医療及び慰安の施設
- 災害補償
- 失業手当、雇止手当及び退職手当
- 送還
- 教育
- 賞罰
- その他の労働条件
また、船舶所有者を構成員とする団体で法人たるものは、その構成員である船舶所有者について適用される就業規則を作成し又は変更し、これを届け出ることができます。
この届出があったときは、船舶所有者を構成員とする団体で法人たるものの構成員である船舶所有者は、就業規則の作成及びその作成又は変更の届出を行う必要はありません。
船舶所有者は、就業規則を届け出ようとするときは、就業規則2通に、労働組合(船員の過半数で組織する労働組合があるとき)又は船員の過半数を代表する者(船員の過半数で組織する労働組合がないとき)の意見を記載した書面を添付して、これを所轄地方運輸局長に提出します。
就業規則の作成の手続き
船舶所有者又は船舶所有者を構成員とする団体で法人たるものは、就業規則を作成し、又は変更するには、その就業規則の適用される船舶所有者の使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは、船員の過半数を代表する者の意見を聴く必要があります。
あくまでも「意見を聴くこと」とされていることから、必ずしも「同意」は必要ありません。
就業規則の監督
国土交通大臣は、法令又は労働協約に違反する就業規則の変更を命ずることができるほか、就業規則が不当であると認めるときは、交通政策審議会又は地方運輸局に置かれる政令で定める審議会の議を経て、その変更を命ずることができます。
就業規則の効力
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める雇入契約は、その部分については無効となります。この場合において雇入契約は、その無効の部分について、就業規則で定める基準に達する労働条件を定めたものとみなされます。
船員の労働条件等の検査等
船員の労働条件等については、定期的な検査が実施され、その内容が適正に実行されているかどうかについての確認が行われます。
定期検査
特定船舶の船舶所有者は、特定船舶を初めて本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間の航海(国際航海)に従事させようとするときは、特定船舶に係る船員の労働条件、安全衛生その他の労働環境及び療養補償について、国土交通大臣又は国土交通大臣の登録を受けた者(登録検査機関)の行う定期検査を受ける必要があります。
また、海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶をその有効期間満了後も国際航海に従事させようとするときも、同様にこの検査を受ける必要があります。
なお、検査は、特定船舶以外の日本船舶(漁船その他同項の特別の用途に供される船舶を除く)であって、国際航海に従事させようとするものについても、船舶所有者の申請によりこれを実施することができます。
★特定船舶
特定船舶とは、総トン数500トン以上の日本船舶であって、漁船その他船員の労働条件等の検査等に関する規則で定める特別の用途に供される船舶を除いたものをいいます。
なお、ここで言う「特別の用途に供される船舶」とは、国の機関、地方公共団体独立行政法人地方独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、特殊法人又はその他国土交通大臣が適当と認める者が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるものとされています。
海上労働証書
国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関が定期検査の結果、船舶が以下の要件の全てに適合すると認めたときは、その船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書を交付します。
国土交通大臣又は登録検査機関が定期検査の結果、船舶が以下の要件のいずれかに適合していないと認めた場合において、国土交通大臣がその要件に適合するために必要な措置が講じられたものと認めたときも、同様に、海上労働証書が交付されます。
- 船員に雇入契約の締結前の書面が交付されていること
- 雇入制限にある者が船員として雇い入れられていないこと
- 船員に雇入契約の成立時の書面が交付されていること
- 雇入契約の成立時の書面の写しが船内に備え置かれていること
- 送還(送還に代えてするその費用の支払を含む)を確実に実施するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置が講じられていること
- 船員の勤務に関する事項が船員手帳に記載されていること
- 船員に給料その他の報酬が支払われていること
- 船員に給料その他の報酬の支払に関する事項を記載した書面が交付されていること
- 船員の労働時間及び休日が、船員法の各規定による基準に適合しているものであること
- 通常配置表が定められ、及びこれが掲示されていること
- 船員の労働時間及び休息時間並びに船員に対する休日及び有給休暇の付与に関する事項が記録簿に記載されており、かつ、その写しが船員に交付されていること
- 必要な員数の海員が乗り組んでいること
- 船員に食料が支給されていること
- 船内における食料の支給を適切に行う能力を有するものとして定められた基準に該当するが乗り組んでいること
- 船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し定められている事項が遵守されていること
- 危険な船内作業に、定められていり経験又は技能を有しない船員が従事していないこと
- 伝染病にかかった船員等作業に従事させてはならない船員が作業に従事していないこと
- 医師を乗り組ませる必要がある船舶にあっては、医師が乗り組んでいること
- 衛生管理者を選任する必要がある船舶にあっては、衛生管理者が選任されていること
- 健康証明書を持たない者が船舶に乗り組んでいないこと
- 16歳未満の者が船員として使用されていないこと
- 18歳未満の船員が危険な船内作業又は船員の安全及び衛生上有害な作業に従事していないこと
- 18歳未満の船員が作業に従事させてはならない時刻の間において作業に従事していないこと
- 船員が負傷し、又は疾病にかかったとき(他の法令に基いて災害補償に相当する給付を受けるべきときを除く)において、船舶所有者がその費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担していること
- 障害手当及び遺族手当を確実に支払うために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置が講じられていること
- 就業規則等の書類が船内の見やすい場所に掲示され、又は備え置かれていること
- 航海当直部員として部員を乗り組ませる船舶にあっては、国土交通大臣より証印を受けている航海当直部員が乗り組んでいること
- 船内苦情処理手続が定められていること
- 船員に船内苦情処理手続を記載した書面が交付されていること
- 船内苦情処理手続に定めるところにより、苦情が処理されていること
- 苦情の申出をしたことを理由として、船員に対して不利益な取扱いがされていないこと
- 有効な船舶検査証書又は臨時航行許可証の交付を受けていること
- 船舶職員及び小型船舶操縦者法第2条第1項に規定する船舶(小型船舶を除く)にあっては、同法第18条、第19条第1項及び第23条第5項の規定により、同法第2条第2項に規定する船舶職員が乗り組んでいること
- 海上労働遵守措置がその船舶における船員の適正な労働条件等を継続的に確保する見地からみて適切に定められており、かつ、これらが適確に実施されていること
海上労働証書の有効期間は5年とされていますが、定期検査の結果、海上労働証書の交付を受けることができる特定船舶であって、定期検査を外国において受けた場合その他地理的条件、交通事情その他の事情により、定期検査に合格した後速やかに、定期検査に係る海上労働証書の交付を受けることが困難であることにより従前の海上労働証書の有効期間が満了するまでの間において検査に係る海上労働証書の交付を受けることができなかったものについては、従前の海上労働証書の有効期間は、その検査に係る海上労働証書が交付される日又は従前の海上労働証書の有効期間が満了する日の翌日から起算して5か月を経過する日のいずれか早い日までの期間とされています。
また、従前の海上労働証書の有効期間が満了する日前3か月以内に受けた検査に係る海上労働証書の交付を受けた場合又は従前の海上労働証書の有効期間について例外規定の適用があった場合における海上労働証書の有効期間は、従前の海上労働証書の有効期間(例外規定の適用があった場合にあっては、例外規定の適用がないものとした場合の有効期間)が満了する日の翌日から起算して5年を経過する日までの期間とされています。
なお、海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者の変更があったときは、船舶に交付された海上労働証書の有効期間は、その変更があった日に満了したものとみなされます。
中間検査
海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者は、海上労働証書の有効期間の起算日の後の2回目の検査基準日(海上労働証書の有効期間が満了する日に相当する毎年の日)から3回目の検査基準日までの間に、その船舶に係る船員の労働条件等について国土交通大臣又は登録検査機関の行う中間検査を受ける必要があります。
海上労働証書の効力の停止
国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関が前条の検査の結果、その船舶が要件のいずれかに適合していないと認めたときは、その要件に適合するために必要な措置が講じられたものと認めるまでの間、その船舶に交付された海上労働証書の効力を停止するものとされています。
臨時海上労働証書
特定船舶の船舶所有者は、船舶所有者の変更があったこと、日本船舶以外の船舶が日本船舶になったこと又は新たに建造された船舶その他海上労働証書を受有しないものを臨時に国際航海に従事させようとすることにより有効な海上労働証書の交付を受けていない特定船舶を臨時に国際航海に従事させようとするときは、特定船舶に係る船員の労働条件等について、国土交通大臣又は登録検査機関(特定船舶が海上運送法第38条第4項の規定による検査を受けた船舶であるときは、正当な理由がある場合を除き、国土交通大臣又は登録検査機関のうちその検査を行ったもの)の行う検査を受ける必要があります。
この検査は、特定船舶以外の日本船舶(漁船その他特別の用途に供される船舶を除く)であって、船舶所有者の変更があったこと、日本船舶以外の船舶が日本船舶になったこと又は新たに建造された船舶その他海上労働証書を受有しないものを臨時に国際航海に従事させようとすることにより有効な海上労働証書の交付を受けていないものを臨時に国際航海に従事させようとするものについても、船舶所有者の申請により実施することができます。
国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関がこの検査の結果、その船舶が以下の要件の全てに適合すると認めたときは、その船舶の船舶所有者に対し、臨時海上労働証書を交付します。
- 船員に雇入契約の締結前の書面が交付されていること
- 雇入制限にある者が船員として雇い入れられていないこと
- 船員に雇入契約の成立時の書面が交付されていること
- 雇入契約の成立時の書面の写しが船内に備え置かれていること
- 送還(送還に代えてするその費用の支払を含む)を確実に実施するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置が講じられていること
- 通常配置表が定められ、及びこれが掲示されていること
- 必要な員数の海員が乗り組んでいること
- 船内における食料の支給を適切に行う能力を有するものとして定められた基準に該当するが乗り組んでいること
- 伝染病にかかった船員等作業に従事させてはならない船員が作業に従事していないこと
- 医師を乗り組ませる必要がある船舶にあっては、医師が乗り組んでいること
- 衛生管理者を選任する必要がある船舶にあっては、衛生管理者が選任されていること
- 健康証明書を持たない者が船舶に乗り組んでいないこと
- 16歳未満の者が船員として使用されていないこと
- 障害手当及び遺族手当を確実に支払うために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置が講じられていること
- 就業規則等の書類が船内の見やすい場所に掲示され、又は備え置かれていること
- 航海当直部員として部員を乗り組ませる船舶にあっては、国土交通大臣より証印を受けている航海当直部員が乗り組んでいること
- 船内苦情処理手続が定められていること
- 船員に船内苦情処理手続を記載した書面が交付されていること
- 有効な船舶検査証書又は臨時航行許可証の交付を受けていること
- 船舶職員及び小型船舶操縦者法第2条第1項に規定する船舶(小型船舶を除く)にあっては、同法第18条、第19条第1項及び第23条第5項の規定により、同法第2条第2項に規定する船舶職員が乗り組んでいること
- 検知器具及び保護具の備付け、手を洗う設備の設置、医薬品等及び医療書の備付け並びに安全担当者及び衛生担当者の選任が遵守されていること
- 海上労働遵守措置がその船舶における船員の適正な労働条件等を継続的に確保する見地からみて適切に定められていること
臨時海上労働証書の有効期間は6か月とされていますが、その船舶の船舶所有者がその船舶について海上労働証書の交付を受けたときは、有効期間が満了したものとみなされます。
なお、臨時海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者の変更があったときは、その船舶に交付された臨時海上労働証書の有効期間は、その変更があった日に満了したものとみなされます。
特定船舶の航行
特定船舶は、有効な海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けているものでなければ、国際航海に従事させることはできません。
海上労働証書等の備置き
海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶の船舶所有者は、その特定船舶内に、これらの証書を、海上労働遵守措置認定書その他国土交通大臣の定める法定検査に関する事項を記録した書類と併せて備え置く必要があります。
再検査
定期検査、中間検査又は臨時検査(法定検査)の結果に不服がある者は、その結果に関する通知を受けた日の翌日から起算して30日以内に、その理由を記載した文書を添えて国土交通大臣に再検査を申請することができます。
さらに、法定検査又は再検査の結果に不服がある者は、その取消しの訴えを提起することができます。
法定検査の結果に不服がある者は、再検査及び取消しの訴えによってのみこれを争うことができます。
なお、再検査を申請した者は、国土交通大臣の許可を受けた後でなければ、関係する帳簿書類その他の物件の現状を変更することはできません。
証書の返納命令
国土交通大臣は、海上労働証書(又は臨時海上労働証書)の交付を受けた船舶が、要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書(又は臨時海上労働証書)の返納を命ずることができます。
登録検査機関
登録検査機関とは、船員法に基づいて行われる船員の労働条件等を検査する機関であり、国土交通大臣がその登録を行います。現在のところ、登録検査機関として、一般財団法人日本海事協会、ABS及びDNV ASが登録を受けています。
登録検査機関は、検査を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、公正に、かつ、要件に適合する方法により、遅滞なく、検査を行います。
また、登録検査機関の役員及び職員で検査業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされます。
登録
登録検査機関の登録は、法定検査を行おうとする者の申請に基づき、要件の全てに適合していることを確認した国土交通大臣により行われます。
- 以下の条件のいずれかに適合する知識経験を有する者(検査員)が検査を実施すること
- 船員の労働条件等の検査について3年以上の実務の経験を有すること
- 船舶職員及び小型船舶操縦者法第2条第2項に規定する船舶職員として5年以上の乗船経験を有すること
- 上記の者と同等以上の知識経験を有すること
- 登録申請者が株式会社である場合にあっては、船舶所有者がその親法人(登録申請者が外国にある事務所において検査業務を行おうとする者である場合にあっては、外国における同法の親法人に相当するものを含む)でないこと
- 登録申請者の役員(持分会社にあっては、業務を執行する社員)に占める船舶所有者の役員又は職員(過去2年間にその船舶所有者の役員又は職員であった者を含む)の割合が2分の1を超えていないこと
- 登録申請者(法人にあっては、その代表権を有する役員)が、船舶所有者の役員又は職員(過去2年間にそよ船舶所有者の役員又は職員であった者を含む)でないこと
また、登録申請者が、以下のいずれかの事由に該当するときは、登録検査機関としての適格性を欠くものとして、登録を受けることはできません。
- 船員法、船舶安全法、船員職業安定法若しくは船舶職員及び小型船舶操縦者法又はこれらの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
- 法人であって、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
登録は、3年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失います。
検査業務規程
登録検査機関は、検査業務の開始前に、以下の事項について記載した検査業務の実施に関する規程(検査業務規程)を定め、国土交通大臣の認可を受ける必要があります。
- 検査の申請に関する事項
- 検査業務の実施方法に関する事項
- 検査を行った船舶が要件の全てに適合することを証する書類の交付及び再交付並びに証印に関する事項
- 専任の管理責任者の選任その他の検査業務の信頼性を確保するための措置に関する事項
- 検査員の選任に関する事項
- 検査に関する料金及び旅費に関する事項
- 検査業務に関する秘密の保持に関する事項
- 検査業務に関する公正の確保に関する事項
- その他検査業務の実施に関し必要な事項
検査員
登録検査機関は、検査員を選任したとき又は変更したときは、その日から15日以内に、国土交通大臣にその旨を届け出る必要があります。
国土交通大臣は、検査員が、船員法、船員法に基づく命令若しくは処分若しくは認可を受けた検査業務規程に違反する行為をしたとき、又は検査業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、登録検査機関(外国登録検査機関を除く)に対し、検査員の解任を命ずることができますが、この命令により検査員の職を解任され、解任の日から2年を経過しない者は、検査員となることができません。
まとめ
船員法における就業規則の規定は、条文こそ少ないものの、船員労務における労働条件の根幹となる分野です。特に絶対的記載事項といわれる重要事項は、文言だけ覚えても意味はなく、船員労務の特殊性を理解していないと実務に当たることは困難です。学習する際も、実務に当たることを想定しながら、各章を改めて見直し、横断的に学んでいくようにしましょう。