航行区域について

地球儀

航行区域とは、船舶が航行する区域を指しますが、船舶はその構造や性能などによって航行できる水域が指定されています。船舶安全法では、すべての水域を平水区域、沿海区域、近海区域及び遠洋区域の4種類に区分しており、この区分を軸に、実務上では船舶職員の乗組みに関する基準や船舶検査証書などで以下のように区分した水域を用います。

平水区域湖、川及び港内の水域(東京湾の北部や大阪湾の大部分、伊勢湾、瀬戸内海の一部)
沿海区域北海道、本州、四国、九州の各海岸から20海里以内の水域や特定の島や半島の海岸から20海里以内の水域(海岸から20海里を超えた水域で20海里以内の水域と同様の気象・海象条件と認められた水域も含む)
限定沿海区域(可搬型小型船舶以外)港などの平水区域から最強速力で2時間以内に往復できる沿海区域内の水域(5海里超え)
上記水域内(平水区域を除く)のうち海岸から5海里以内に制限された水域(船体の構造や設備により5海里以内の場合)
母港又は母港を含む平水区域から12海里以内(長さ5m未満の場合は5海里以内)の沿海区域内(帆船の場合)
限定沿海区域(可搬型小型船舶)安全に発着できる任意の地点を起点とする航行区域(水上オートバイその他の自動車等で運搬し使用される可搬型小型船舶)
近海区域東は東経175度、南は南緯11度、西は東経94度、北は北緯63度の線により囲まれた水域(マラッカ海峡からカムチャツカ半島までが含まれる)
遠洋区域すべての水域
沿岸区域(沿岸5海里)沿海区域内の本州、北海道、四国及び九州並びにこれらに附属する島の各海岸から5海里以内の水域と平水区域に限定された水域
船舶安全法施行規則で定める近海区域近海区域のうち日本周辺の水域(船舶設備規程第2条第2項の区域を定める告示が規定する限定範囲)
本邦の海岸から12海里以内の水域(小型漁船)小型漁船が漁ろうのみに従事する際に船舶安全法の適用を受けない水域(日本の海岸から12海里を超えて操業する小型漁船は船舶検査を受ける必要あり)
※通常、「最強速力」は船の大きさやエンジンの出力から計算で求められますが、人や燃料を最大限搭載して実際に船を動かして求める場合もあります。

なお、海商法(商法第三編)において平水区域のみを航行する船舶は陸上交通機関の一種をなすものとみなされるため、一般の商法が適用されます。また、乗組員は船員保険の対象とならず一般労働者と同様の社会保険制度が適用されます。

航行区域
出典元:国土交通省

★領海

領海(沿岸海)とは、基線から最大12海里(約22.2km )までの範囲で国家が設定した帯状の水域であり、沿岸国の主権が及ぶ水域を指します。

無線通信に関する区分

航行区域ではありませんが、無線通信に関しては湖川を除く水域について、以下の区分ごとに、無線設備などの条件が定められています。

A1水域国際VHFなど超短波により通信できる範囲(日本では告示が未制定のためVHFの通信圏もA2水域に含まれる)
A2水域海岸局と無線電話が使用でき、かつ、海岸局に遭難信号の送信ができる水域
A3水域インマルサット通信衛星を経由して海岸地球局と電信や無線電話連絡を行うことができる水域
A4水域A1、A2およびA3水域以外の全水域
N-STAR衛星船舶電話の通話可能水域一般通信用無線電信等のうちサテライトマリンホン、サテライトホンDoPaN21、ワイドスターマリンホン、ワイドスターDoPaN21、ワイドスター・デュオ、衛星船舶電話・車載端末01(総称して「N-STAR衛星船舶電話」)の通話可能水域(通話エリアは、一部離島を除く日本全土及び概ね沿岸200海里の海上)

まとめ

海には大きなロマンがあります。「いつかは自家用クルーザーで大海原へ乗り出そう!」なんて妄想を膨らませているのは多分私だけではないはずです。笑

船舶関連の制度には一般的にはあまり馴染みの薄い仕組みが採用されています。手続きが複雑であることに加え、何よりも非常に煩(わずら)わしい作業を求められることになります。船舶について精通する人や情報を探し当てることは困難を極めますので、船舶に関するお手続きでお困りの際は、当事務所までどうぞご遠慮なくお問い合わせください。

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