京都における遊漁船業登録│釣り船屋開業のための手続方法

五老ヶ岳から見る舞鶴湾の海
出典元: 京都フリー写真素材

釣り船は法律上「遊漁船業」と呼ばれ、都道府県知事の行う登録を受けることにより営業を開始することができる事業形態です。

海に面する兵庫県に所在する当事務所では、兵庫県のほか、関西圏を中心に遊漁船登録申請の代行を数多く承っており、特にコロナ禍がようやく落ち着きつつある最近はお問い合わせの数も急増傾向にあります。

他方、遊漁船業登録の申請は都道府県知事に対して行うものであることから、必然的にその手続方法は都道府県ごとに違いが生じます。

そこで本稿では、これから京都府において遊漁船業を始めようとされる皆さまに向けて、京都府における遊漁船業登録の手続方法とそのポイントについて詳しく解説していきたいと思います。

本稿は令和6年4月1日より施行された改正遊漁船業法の規定に基づきリライトしたものです。従前の遊漁船業法からの変更点については、以下の記事で確認するようにしてください。

遊漁船業とは

遊漁船業とは、船舶により乗客を漁場(海面及び農林水産大臣が定める内水面に属するものに限る)に案内し、釣りその他の方法により魚類その他の水産動植物を採捕させる事業をいいます。(遊漁船業法第2条)

この条文を平たく解釈すれば、次の要素をすべて備える事業が遊漁船業に該当することになります。

  • 船舶により乗客を漁場に案内する事業であること
  • 海面及び農林水産大臣が定める内水面に属する内水面で行う事業であること
  • 釣りその他の方法により魚類その他の水産動植物を採捕させる事業であること

漁場となる水面

条文中には「海面及び農林水産大臣が定める内水面」とあるため、海上のみならず、農林水産大臣が定める以下の水面において遊漁をさせる事業も遊漁船業に含まれることになります。

  • サロマ湖
  • 風蓮湖
  • 温根沼
  • 厚岸湖
  • 霞ケ浦
  • 北浦及び外浪逆浦(外浪逆浦と霞ケ浦及び北浦を連絡する水路であって茨城県の区域に属する部分を含む)
  • 加茂湖
  • 浜名湖
  • 琵琶湖
  • 中海

ご覧のとおり、京都府内には農林水産大臣が定める水面はありませんが、たとえば京都府内に営業所を設置する事業者が琵琶湖で釣り船を運営しようとするときは、京都府知事による登録を受ける必要があります。

なお、海又は上記の水面以外の水面(たとえば川)において遊漁をさせる事業は遊漁船業には該当しません。

釣りその他の方法

条文では「釣りその他の方法」により魚類その他の水産動植物を採捕させる事業を遊漁船として定義しているため、以下の方法により水産動植物を採捕させるために漁場まで案内する事業が遊漁船業に該当します。

  • 釣り
  • 網を使用する方法
  • 網以外の漁具を移動しないように敷設して行う方法
  • やす又はは具(くまで、いそがね等)を使用する方法
  • 歩行徒手採捕

したがって、船上で魚を釣らせる船釣や釣り場に乗客を運搬する磯渡業(瀬渡業)のほか、潮干狩りや手掴みで魚を採捕させるために漁場まで案内する事業も遊漁船業に該当することになります。

なお、漁の方法や使用できる漁具については、各自治体の条例により制限されていることがあるため、漁場に出る際は各自治体による規制の有無や内容を事前にしっかりとチェックするようにしてください。(例:水中銃を使用する漁等)

水産動植物の採捕

あくまでも魚類その他の水産動植物を採捕させることを目的として乗客を案内する事業であるため、単にダイビングのポイントまで乗客を案内する船舶は遊漁船には該当しません。

また、海上運送法上の手続きを経る必要のある屋形船やホエールウォッチングをさせるための船舶等いわゆる遊覧船事業も遊漁船に該当しませんが、これらの船舶において水産動植物の採捕を併用する場合には遊漁船業にも該当します。

なお、営利を目的として事業を営む場合は、たとえ年1回のイベント形式であっても遊漁船業に該当します。逆に言えば、乗客から金銭を収受しない限り、遊漁船業には該当しないことになります。

遊漁船業登録

遊漁船業を営もうとする者は、営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する都道府県知事に対して申請を行い、その登録を受ける必要があります。

たとえば京都府内に営業所を設置する事業者であれば、遊漁船として使用する船舶の船籍港が兵庫県内であっても、兵庫県知事ではなく京都府知事に対して申請を行います。逆に言えば、兵庫県内に営業所を設置する事業者であれば、船籍港が京都府内であっても、兵庫県知事に対して申請を行います。

登録の有効期間は5年間とされており、継続して事業を行うためには、5年ごとに登録を更新する必要があります。また、登録事項について変更が生じたとき、又は登録を廃止するときは、変更が生じた日(廃止することとなった日)から30日以内にその旨を届け出る必要があります。

なお、登録申請時に支払う申請手数料の額は各都道府県ごとに15,000円から30,000円の範囲で異なりますが、京都府における申請手数料は20,400円(更新登録は16,320円)となります。

申請先及び申請方法

京都府における遊漁船業登録申請(変更・廃業届含む)は、すべて京都府水産事務所漁政課漁業漁船担当に対して行います。申請する場合は以下の問い合わせ先まで連絡し、「納付書」の送付を受けます。納付書の到着後にコンビニ又は金融機関で申請手数料を納付し、受領した「納付済証(原本)」を申請書に添付して提出します。

京都府水産事務所漁政課漁業漁船担当

〒626-0052京都府宮津市字小田宿野1029-3

TEL:0772-25-0129
FAX:0772-25-1532
Mail:suisanjimusho@pref.kyoto.lg.jp

登録の基準

基本的に船舶が1隻あれば始めることができる事業ですが、登録を受けるためには、申請者が登録拒否事由に該当しないことを前提として、人的基準物的基準業務に関する基準及び金銭的基準のすべての基準をクリアする必要があります。

登録拒否事由

そもそもの条件として、登録を受けようとする者が以下のいずれかの事由に該当する場合は、遊漁船業者としての適格性を欠く者として登録を受けることはできません。

  • 登録を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しない者
  • 法人であるものが登録を取り消された場合において、その処分のあった日前30日以内にその遊漁船業者の役員であった者でその処分のあった日から2年を経過しないもの
  • 事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 遊漁船業法、船舶安全法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、漁業法、水産資源保護法、これらの法律に基づく命令等の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 遊漁船業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が欠格事由のいずれかに該当するもの
  • 法人でその役員のうちに欠格事由のいずれかに該当する者があるもの
  • 申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているとき

人的基準

ヒトに関する基準として、遊漁船業者には遊漁船業務主任者の設置が義務付けられています。遊漁船業者は、遊漁船における利用者の安全管理その他の業務を行わせるため、以下の要件をすべて満たす者のうちから遊漁船業務主任者を選任する必要があります。

  • 海技士(航海)又は1級・2級小型船舶操縦士の免許を受けていること
  • 小型船舶において船長を兼務する場合は、特定操縦免許を受けていること
  • 遊漁船業に関して1年以上の実務経験を有すること、又は遊漁船業務主任者のもとで10日間(1日につき5時間以上)以上の実務研修を修了していること
  • 遊漁船業務主任者講習を修了した者であって、修了証明書の交付を受けた日の属する年の翌年の1月1日(交付を受けた日が1月1日である場合には同日)から5年を経過していないものであること
実務経験と実務研修

遊漁船業務主任者に選任するためには、その者が遊漁船業に関して1年以上の実務経験を有すること、又は遊漁船業務主任者のもとで業務形態(船釣り・瀬渡し・体験漁業等)ごとに30日間(1日につき5時間以上)以上の実務研修を修了していることのどちらかの要件を満たす必要があります。(令和6年4月1日より実務研修期間が延長されました。)

いずれも第三者による証明が必要になりますが、どちらに該当するかによって証明書の記載方法も異なるため、実務経験であるか実務研修であるかについては、しっかりと把握するようにしてください。

実務経験遊漁船業に関して1年以上の実務経験を有すること
実務研修遊漁船業務主任者のもとで10日間(1日につき5時間以上)以上の実務研修を修了していること
※どちらかの要件を満たすこと

なお、研修の実施者については、1年以上の実務経験を有し、研修を実施する能力がある者であることが要件とされているほか、研修後は、受講者の研修内容に対する理解度について確認し、研修記録の作成・保存を義務付けられています。

遊漁船業務主任者講習

遊漁船業務主任者は、上記の実務経験又は実務研修とは別に、農林水産大臣が認定する団体が実施する遊漁船業務主任者講習を受講する必要があります。また、遊漁船業務主任者を継続して選任する場合は、5年に1回はこの講習を受講させる必要があります。

欠格事由

上記の要件をすべて満たす者であっても、以下のいずれかの事由に該当する者については、適格性を欠く者として遊漁船業務主任者として選任することはできません。

  • 都道府県知事の業務改善命令により遊漁船業務主任者を解任され、解任の日から5年を経過しない者
  • 登録を取り消され、その処分のあった日から5年を経過しない者
  • 法人であるものが登録を取り消された場合において、その処分のあった日前30日以内にその遊漁船業者の役員であった者でその処分のあった日から5年を経過しないもの
  • 事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 遊漁船業法、船舶安全法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、漁業法、水産資源保護法、これらの法律に基づく命令等の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 遊漁船業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が欠格事由のいずれかに該当するもの
船長と遊漁船業務主任者

遊漁船業務主任者には乗船の義務がありますが、必ずしも船長である必要はありません。逆に言えば、船長が遊漁船業務主任者の資格者である必要もありません。また、船長と遊漁船業務主任者とを兼務することも可能です。

ただし、船舶の操舵を行う以上、海技免状若しくは小型船舶操縦免許(特定)を有する者である必要があります。

なお、乗船する従業員を「中乗りさん」や「上乗りさん」と呼ぶ慣習がありますが、これらの従業員については、船舶を操縦しない限りは特に資格や免許は不要です。

物的基準

モノに関する細かな基準は特に存在していませんが、前提として遊漁船業に使用する船舶については、法定備品を備え、適正な検査を完了したものであって登録や登記といった手続きを経たものである必要があります。

業務規程

遊漁船業者は、遊漁船業の実施に関し最低限以下の事項について具体的な内容を記載した業務規定を作成し、都道府県知事に対して届け出る必要があります。

  • 利用者の安全の確保及び利益の保護並びに漁場の安定的な利用関係の確保のため必要な情報の収集及び伝達に関する事項
  • 利用者が遵守すべき事項の周知に関する事項
  • 出航中止条件及び出航中止の指示に関する事項
  • 気象若しくは海象等の状況が悪化した場合又は海難その他の異常の事態が発生した場合の対処に関する事項
  • 漁場の適正な利用に関する事項
  • 遊漁船業者及びその従業者が遵守すべき事項

金銭的基準

直接的な資金又は資産に関する規定は設けられてはいませんが、不測の事故に備えるため、遊漁船として使用する船舶は、すべて乗客損害賠償保険への加入が義務付けられています。

加入する保険についても、保険契約額が利用者定員1人あたり5千万円以上のものである必要があります。また、磯渡しの場合は、同時に利用する最大人数(利用定員)を決め、 利用定員分の損害賠償措置に加入する必要があります。

なお、損害賠償保険が団体契約の場合は、その団体が発行する保険加入証書の写しが必要となります。

登録申請に必要となる書類

登録申請は、以下の書類を都道府県の水産課等の担当窓口に提出することに行います。従前は登録後に提出していれば足りた業務規程についても、登録申請時に提出することになります。

  • 遊漁船業登録申請書
  • 誓約書(申請者、役員、業務主任者、法定代理人)
  • 実務経験・実務研修証明書
  • 業務主任者講習会修了証明書の写し
  • 業務主任者の海技免状(航海)又は小型船舶操縦免許証(特定)の写し
  • 遊漁船の船舶検査証書の写し
  • 損害賠償保険証書の写し
  • 住民票の抄本又はこれに代わる書面(運転免許証、健康保険証等)(申請者、役員、業務主任者、法定代理人)
  • 業務規程(正副2部)
  • 登記事項証明書(法人)

登録後に必要となる手続き

登録の要件を満たしていることが確認され、遊漁船登録簿に記載されると、申請者の所在地に登録の完了通知が送付されます。ただし、登録完了後すぐに営業を開始することができるわけではなく、営業開始までの間に、登録票と登録標識を作成・設置し、利用者名簿の備え付ける必要があります。

京都府遊漁船業開業サポート

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