海技士になろう│海技免許の取得方法について

看板から見た海

海技免許は、おもに大型船舶に乗り組むための免許を指し、小型船舶に乗り組むために必要な小型船舶操縦士免許とは明確に区分されています。海技免許は、国土交通大臣が行う海技士国家試験(海技試験)に合格し、かつ、登録海技免許講習の課程を修了した者について行われます。また海技士とは、この海技免許を受けた者のことを指します。

そこで本稿では、海技士となるために必要となる海技免許の取得方法について、これらを規定する船舶職員及び小型船舶操縦者法という法律を下敷きにして、詳しく解説していきたいと思います。

海技士の資格

海技免許は、「航海」「機関」「通信」「電子通信」の4つの区分に応じ、それぞれ資格の別に行われます。この資格はさらにその熟練度に応じて細かく等級が設定されていて、免状によって運航することができる船舶や職務などが限定されています。要するに、船舶の総トン数、エンジンの出力、航行区域(遠洋区域、近海区域、沿海区域、平水区域)等によって、その船舶に乗り組むことができる職員の資格は限られます。

配乗表

また、自動車免許における「AT車限定」といった限定と同様に、船舶免許についても「履歴限定」「船橋当直限定」「機関当直限定」「機関限定」「能力限定」といった限定免許が存在します。

履歴限定

海技士(航海)又は海技士(機関)に係る海技免許については、乗船履歴の期間によって、船舶における職務について限定がされています。

履歴限定の変更又は全部若しくは一部の解除を申請する場合は、海技免許限定解除(変更)申請書に、海技免許講習の課程を修了したことを証明する書類、乗船履歴を証明する書類、又は海事教育機関の卒業証書を添えて、国土交通大臣に提出します。

船橋当直限定機関当直限定

三級海技士(航海)又は三級海技士(機関)の海技免許を有する海技士の職務については、それぞれ船橋当直(航海)、機関当直(機関)に限定することができます。この免許で船舶職員として乗船することのできる船舶は、近代化船に限定されています。

機関限定

海技士(機関)に係る海技免許を行う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、船舶の機関の種類についての限定がなされることがあります。

能力限定

海技士(航海)に係る海技免許については、電子海図情報表示装置についての知識及び技能に応じ、限定がなされることがあります。能力限定の解除を申請する場合は、海技免許限定解除(変更)申請書に、海技免許講習の課程を修了したことを証明する書類を添えて、国土交通大臣に提出します。

免許取得までの流れ

海技士の免許を受けるためには、「海技士国家試験」に合格し、かつ、海技免許の区分に応じた「海技免許講習」の課程を修了することが必要です。また、海技士国家試験の受験資格には等級に応じた乗船履歴が必要とされているため、試験前までに決められた年数以上の乗船履歴を満たすことも求められます。これを段階に分けて表示すると、以下のような流れになります。

STEP1:乗船履歴を満たすこと

船員として就職した先や登録船舶職員養成施設において乗船履歴を積みます。なお、登録船舶職員養成施設の課程を修了した者には、筆記試験が免除される制度も設けられています。

STEP2:海技試験に合格すること

海技試験は、船舶職員として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とした身体検査及び学科試験が行われます。

STEP3:免許講習を受けること

海技免許は、海技試験に合格するだけでは足らず、かその資格に応じ人命救助その他の船舶職員としての職務を行うに当たり必要な事項に関する知識及び能力を習得させるための講習(海技免許講習)であって国土交通大臣の登録を受けたもの(登録海技免許講習)の課程を修了する必要があります。

STEP4:免許申請を行うこと

海技免許の申請は、申請者が海技試験に合格した日から1年以内に行わなければならないこととされています。

STEP5:免状の交付

国土交通大臣は、海技免許を与えたときは、国土交通省に備える海技士免許原簿に登録し、海技免状を交付します。ただし、次のいずれかの事由に該当する者には、海技免許は与えられません。

  • 18歳に満たない者
  • 海難審判法の裁決により海技免許、承認又は操縦免許を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
  • 海技免許、承認又は操縦免許を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
  • 業務の停止の処分を受けた者であって、その業務の停止期間中にあるもの

乗船履歴

  • 15歳以降の履歴であること
  • 試験開始期日前15年以内の履歴であること
  • 主として船舶の運航、機関の運転又は船舶における無線電信もしくは無線電話による通信に従事しない職務の履歴(三級通信及び電子通信を除く)ではないこと
  • 上記の乗船履歴のうち、試験開始期日から5年以内の履歴が1日以上あること
  • 海技士(通信)及び海技士(電子通信)の海技試験は、試験開始期日の前日までに17歳9か月に達する者であること

海技試験は、試験開始期日の前日までに資格別に定められた以下の乗船履歴を満たす者でなければ受験することはできません。ただし、海技士(航海)試験、海技士(機関)試験については、乗船履歴を満たすことなく学科試験のうちの筆記試験を受験することができます。なお、4月定期試験の場合は4/10であり、7月は7/1、10月は10/1、2月は2/1が試験開始期日となります。

海技士(航海)試験

種別船舶期間資格職務
六級海技士(航海)試験総トン数5トン以上の船舶2年以上 船舶の運航
五級海技士(航海)試験総トン数10トン以上の船舶3年以上 船舶の運航
総トン数20トン以上の船舶1年以上六級海技士(航海)船長又は航海士
四級海技士(航海)試験総トン数200トン以上の平水区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の沿海区域、近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の漁船3年以上船舶の運航
1年以上五級海技士(航海)船長又は航海士
船橋当直三級海技士(航海)試験総トン数1,600トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船3年以上船舶の運航
総トン数500トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年6月以上四級海技士(航海)航海士(一等航海士を除く)
総トン数200トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20 トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶、総トン数200トン以上の丙区域内において従業する漁船又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年以上四級海技士(航海)船長又は一等航海士
三級海技士(航海)試験総トン数1,600トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船3年以上船舶の運航
総トン数500トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船2年以上四級海技士(航海)航海士(一等航海士を除く)
総トン数200トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶、総トン数200トン以上の丙区域内において従業する漁船又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年以上四級海技士(航海)船長又は一等航海士
第一種近代化船、第二種近代化船、第三種近代化船又は第四種近代化船6月以上船橋当直三級海技士(航海)運航士
二級海技士(航海)試験総トン数1,600トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数500トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数500トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年以上三級海技士(航海)船舶職員
総トン数200トン以上500トン未満の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数200トン以上500トン未満の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船2年以上三級海技士(航海)船長又は航海士
一級海技士(航海)試験総トン数5,000トン以上の沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数1,600トン以上の近海区域を航行区域とする船舶、総トン数500トン以上の遠洋区域を航行区域とする船舶、総トン数1,600トン以上の乙区域内において従業する漁船又は総トン数500トン以上の甲区域内において従業する漁船2年以上二級海技士(航海)船舶職員(船長及び一等航海士を除く)
1年以上二級海技士(航海)船長又は一等航海士
総トン数200トン以上1,600トン未満の近海区域を航行区域とする船舶であって海難救助の用に供するもの又は総トン数200トン以上500トン未満の遠洋区域を航行区域とする船舶であって海難救助の用に供するもの4年以上二級海技士(航海)航海士(一等航海士を除く)
2年以上二級海技士(航海)船長又は一等航海士

海技士(機関)試験

種別船舶期間資格職務
六級海技士(機関)試験又は内燃機関六級海技士(機関)試験総トン数5トン以上の船舶2年以上 機関の運転
五級海技士(機関)試験又は内燃機関五級海技士(機関)試験総トン数10以上の船舶3年以上 機関の運転
総トン数20トン以上の船舶1年以上六級海技士(機関)機関長又は機関士
四級海技士(機関)試験又は内燃機関四級海技士(機関)試験出力750kw以上の推進機関を有する平水区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の沿海区域、近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の漁船3年以上 機関の運転
1年以上五級海技士(機関)機関長又は機関士
機関当直三級海技士(機関)試験出力3,000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船3年以上 機関の運転
出力1,500kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年6月以上四級海技士(機関)機関士(一等機関士を除く)
出力750kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶、 出力750kw以上の推進機関を有する丙区域内において従業する漁船又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年以上四級海技士(機関)機関長又は一等機関士
三級海技士(機関)試験又は内燃機関三級海技士(機関)試験出力3,000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船3年以上機関の運転
出力1,500kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船2年以上四級海技士(機関)機関士(一等機関士を除く)
出力750kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶、出力750kw以上の推進機関を有する丙区域内で従業する漁船又は総トン数20トン以上の乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年以上四級海技士(機関)機関長又は一等機関士
第一種近代化船、第二種近代化船、第三種近代化船又は第四種近代化船6月以上機関当直三級海技士(機関)運航士
二級海技士(機関)試験又は内燃機関二級海技士(機関)試験出力3,000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、出力1,500kw以上の推進機関を有する近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は出力1,500kw以上の推進機関を有する乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船1年以上三級海技士(機関)船舶職員
出力750kw以上1,500kw未満の推進機関を有する近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は出力750kw以上1,500kw未満の推進機関を有する乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船2年以上三級海技士(機関)機関長又は機関士
一級海技士(機関)試験出力6,000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、出力3,000kw以上の推進機関を有する近海区域を航行区域とする船舶、出力1,500kw以上の推進機関を有する遠洋区域を航行区域とする船舶、出力3,000kw以上の推進機関を有する乙区域内において従業する漁船又は出力1,500kw以上の推進機関を有する甲区域内において従業する漁船2年以上二級海技士(機関)船舶職員(機関長及び一等機関士を除く。)
1年以上二級海技士(機関)機関長又は一等機関士
出力750kw以上3,000kw未満の推進機関を有する近海区域を航行区域とする船舶であって海難救助の用に供するもの又は出力750kw以上1,500kw未満の推進機関を有する遠洋区域を航行区域とする船舶であって海難救助の用に供するもの4年以上二級海技士(機関)機関士(一等機関士を除く。)
2 年以上二級海技士(機関)機関長又は一等機関士

海技士(通信)試験

種別船舶期間職務
三級海技士(通信)試験総トン数500トン以上の船舶6月以上 
二級海技士(通信)試験沿海区域、近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は漁船6月以上実習又は無線電信若しくは無線電話による通信
一級海技士(通信)試験沿海区域(国際航海に従事する船舶に限る)、近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船6月以上実習又は無線電信若しくは無線電話による通信

海技士(電気通信)試験

四級海技士(電子通信)試験総トン数5トン以上の船舶に6月以上
一級海技士(電子通信)試験、二級海技士(電子通信)試験又は三級海技士(電子通信)試験沿海区域(国際航海に従事する船舶に限る)、近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船に6月以上

乗船履歴の特例

一定の学歴を有する者であって、試験科目に直接関係のある教科単位を定められた数修得した者については、必要とされる乗船履歴を緩和する特例が設けられています。

また、国土交通大臣は、乗船履歴として認められる船舶以外の船舶に乗り組んだ履歴であっても、乗船履歴として認められる船舶に乗り組んだものに相当すると認めることができます。

乗船期間の計算

乗船履歴の乗船期間を計算するには、乗船の日から起算し、末日は終了しないときでも1日として算入します。

11/1乗船、11/2下船の場合の乗船履歴日数は2日となる。

月又は年で定める乗船期間は、暦に従って計算し、月又は年の始めから起算しないときは、その期間は最後の月又は年における起算日に応当する日の前日をもって満了します。ただし、最後の月又は年に応当日がないときは、その月の末日をもって満了するものとされています。

  • 10/25乗船、11/4下船の場合の乗船履歴日数は、10/25~10/31の7日間及び11/1~11/4の4日間の合計11日となる。
  • 4/15乗船、10/30下船の場合の乗船履歴期間は、4/25~10/14の6か月及び7/25~7/30の16日の合計である、6か月16日となる。
  • 1/31乗船、2/28下船の場合の乗船履歴期間は、起算日である1/31に応当する日が2月はないことから、末日である2/28をもって、1か月となる。

乗船期間を計算するには、1か月に満たない乗船日数は、合算して30日になるときは1か月とし、1年に満たない乗船月数は、合算して12か月になるときは1年とします。

1年10月25日+7か月15日 = 1年17か月40日 = 2年6か月10日となる。

異なる乗船履歴の合算

必要な乗船期間に達しない2以上の異なる乗船履歴を有するときは、それぞれの乗船期間の比例により、いずれか最短乗船期間の長い方の履歴に換算して、これを通算することができます。

以下の乗船履歴を有する五級海技士(航海)免許取得者である申請者が四級海技士(航海)試験を受験するケース。

四級海技士(航海)試験を受験するために必要な乗船履歴は、船舶の運航業務で3年以上又は五級海技士(航海)を免許取得後、航海士として1年以上の履歴のいずれかが必要。

  1. 甲板員(船舶の運航業務)として2年
  2. 五級海技士(航海)免許取得後、二等航海士として4か月
  3. 五級海技士(航海)免許取得前、二等航海士として2か月

この場合、乗船履歴の合算は以下のとおり行う。

3.は航海士としての履歴であるが、五級海技士(航海)免許取得前の履歴であることから、船舶の運航業務に従事したものと扱うため、1.+3.=2年2か月(必要乗船期間は3年以上)、2.=4か月(必要乗船期間は1年以上)となり、単独ではいずれも必要な乗船期間に達しないため、これを必要乗船期間の比例(3:1)により、必要乗船期間が長い方の履歴(3年)に合算すると、2.の4か月×3=12月(1年)、1.+2.+3.=2年 +1年+2月=3年2か月となることから、四級海技士(航海)を受験するために必要な乗船期間である3年以上を有していることとなる。

乗船履歴の証明

乗船履歴は、次のいずれかのものにより証明します。

  • 船員手帳又は地方運輸局長(運輸監理部長を含む)の船員手帳記載事項証明
  • 船員手帳を滅失し、又は毀損した者が官公署(独立行政法人を含む)の所属船舶に乗り組んだ履歴については当該官公署の証明、官公署の所属船舶以外の船舶に乗り組んだ履歴については船舶所有者又は船長の証明
  • 船員手帳を受有しない者が官公署の所属船舶に乗り組んだ履歴については当該官公署の証明、官公署の所属船舶以外の船舶に乗り組んだ履歴については船舶所有者又は船長の証明

船舶所有者又は船長が乗船履歴を証明する場合には、船舶検査手帳の写し(船舶検査手帳を受有しない船舶に乗り組んだ履歴を証明する場合にあっては、漁船の登録の謄本又はその居住する市町村の長(又は特別区の長)の次の事項についての証明書)を添付します。

  • 船舶番号
  • 船種及び船名
  • 総トン数
  • 推進機関の種類及び出力並びに無線設備の種類
  • 船舶の用途
  • 航行する区域
  • 船舶所有者の氏名又は名称及び船舶の所有期間

船舶所有者又は船長が乗船履歴を証明する場合において、自己の所有に属する船舶又は自己が船長である船舶に乗り組んだ履歴については、更に当該船舶に乗り組んだ旨のその居住する市町村の長若しくは他の船舶所有者又は係留施設の管理者その他の船舶所有者に代わって当該船舶を管理する者の証明が必要となります。

乗船履歴の特則

以前に海技士であった者は、海技免許の効力が失われた日から起算して10年間は、以前に海技免許を受けた資格と同一の資格についての海技試験を受けるに必要な乗船履歴を有する者とみなす。

無線従事者の免許

海技士(通信)又は海技士(電子通信)の資格についての海技試験は、以下の免許を受け、かつ、船舶局証明を受けた者でなければ、受験することができません。

海技試験無線従事者の資格
一級海技士(通信)試験第一級総合無線通信士
二級海技士(通信)試験第一級総合無線通信士又は第二級総合無線通信士
三級海技士(通信)試験第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士又は第三級総合無線通信士
一級海技士(電子通信)試験第一級総合無線通信士又は第一級海上無線通信士
二級海技士(電子通信)試験第一級総合無線通信士、第一級海上無線通信士又は第二級海上無線通信士
三級海技士(電子通信)試験第一級総合無線通信士、第一級海上無線通信士、第二級海上無線通信士又は第三級海上無線通信士
四級海技士(電子通信)試験第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士、第一級海上無線通信士、第二級海上無線通信士、第三級海上無線通信士又は第一級海上特殊無線技士

その他乗船履歴に関する規定

海技試験(船橋当直三級海技士(航海)試験又は機関当直三級海技士(機関)試験を除く)に対する受験資格を有する者は、その資格より下級の資格についての海技試験を受けることができます。

外国政府の授与した船舶の運航又は機関の運転に関する資格証書を有する者であって、国土交通大臣の承認を受けた者は、国土交通大臣が相当と認める資格について海技試験を受けることができます。

海技試験の申請

海技試験を申請する者は、海技試験申請書に次の書類(乗船履歴を要しない海技試験の筆記試験を申請する者にあっては、1.の書類に限る)を添えて、海技試験を受ける地を管轄する地方運輸局(試験を受ける地が国外にあるときは、関東運輸局)を経由して国土交通大臣に提出します。

  1. 戸籍抄本若しくは戸籍記載事項証明書又は本籍の記載のある住民票の写し(海技士又は小型船舶操縦士にあっては、それぞれ海技免状又は操縦免許証の写しをもって代えることができる)
  2. 海技免状の写し(海技士)
  3. 無線従事者免許証及び船舶局無線従事者証明書の写し(海技士(通信)又は海技士(電子通信)の資格についての海技試験を申請する者)
  4. 卒業証書の写し若しくは卒業証明書又は修了証書の写し若しくは修了証明書及び当該学校における修得単位証明書(特例を受ける学校卒業者)
  5. 乗船履歴の証明書
  6. 指定医師により試験開始期日前六月以内に受けた検査の結果を記載した海技士身体検査証明書(身体検査の省略を受けようとする者以外の者)
  7. 海技士身体検査合格証明書(身体検査の省略を受けようとする者)
  8. 筆記試験合格証明書(筆記試験に合格している者)
  9. 試験科目に係る筆記試験科目免除証明書(一部の試験科目について筆記試験の免除を受けようとする者)
  10. 登録船舶職員養成施設の発行する修了証明書(学科試験の免除を受けようとする者)
  11. 写真2葉

海技免状、無線従事者免許証若しくは船舶局無線従事者証明書又は卒業証書若しくは修了証書の写しには、その正本と照合した旨の地方運輸局等の証明が必要とされます。また、これらの書類を地方運輸局に提示したときは、その写しの提出は不要になります。

同時申請

次の海技試験については、定期試験及び国土交通大臣が特に指定する臨時試験に限り、同時に申請することができます。なお、同時に2以上の種別の海技試験について申請することはできません。(海技士(航海)試験と海技士(機関)試験を同時に申請するような場合)

三級海技士(航海)試験機関当直三級海技士(機関)試験
船橋当直三級海技士(航海)試験三級海技士(機関)試験
船橋当直三級海技士(航海)試験機関当直三級海技士(機関)試験
船橋当直三級海技士(航海)試験内燃機関三級海技士(機関)試験
四級海技士(航海)試験内燃機関四級海技士(機関)試験
海技士(航海)の資格についての一の海技試験海技士(電子通信)の資格についての一の海技試験
海技士(機関)の資格についての一の海技試験海技士(電子通信)の資格についての一の海技試験

筆記試験の同時申請

次の海技試験を申請する者は、それぞれ下表の海技試験の学科試験のうち筆記試験を同時に申請することができます。

海技試験併科試験その1併科試験その2
二級海技士(航海)試験一級海技士(航海)試験 
三級海技士(航海)試験二級海技士(航海)試験一級海技士(航海)試験
四級海技士(航海)試験三級海技士(航海)試験二級海技士(航海)試験
船橋当直三級海技士(航海)試験三級海技士(航海)試験
五級海技士(航海)試験四級海技士(航海)試験三級海技士(航海)試験
四級海技士(航海)試験船橋当直三級海技士(航海)試験
六級海技士(航海)試験五級海技士(航海)試験四級海技士(航海)試験
船橋当直三級海技士(航海)試験三級海技士(航海)試験二級海技士(航海)試験
二級海技士(機関)試験一級海技士(機関)試験
三級海技士(機関)試験二級海技士(機関)試験一級海技士(機関)試験
四級海技士(機関)試験三級海技士(機関)試験二級海技士(機関)試験
機関当直三級海技士(機関)試験三級海技士(機関)試験
五級海技士(機関)試験四級海技士(機関)試験三級海技士(機関)試験
四級海技士(機関)試験機関当直三級海技士(機関)試験
六級海技士(機関)試験五級海技士(機関)試験四級海技士(機関)試験
機関当直三級海技士(機関)試験三級海技士(機関)試験二級海技士(機関)試験
内燃機関三級海技士(機関)試験内燃機関二級海技士(機関)試験
内燃機関四級海技士(機関)試験機関当直三級海技士(機関)試験三級海技士(機関)試験
機関当直三級海技士(機関)試験内燃機関三級海技士(機関)試験
内燃機関三級海技士(機関)試験内燃機関二級海技士(機関)試験
内燃機関五級海技士(機関)試験内燃機関四級海技士(機関)試験機関当直三級海技士(機関)試験
 内燃機関四級海技士(機関)試験内燃機関三級海技士(機関)試験
内燃機関六級海技士(機関)試験内燃機関五級海技士(機関)試験内燃機関四級海技士(機関)試験

海技試験の身体検査

検査項目と合格基準は以下のとおりです。なお、身体検査に合格しない者に対しては、乗船履歴を満たすことなく筆記試験を受験する場合を除き、学科試験は行われません。

検査項目種別身体検査基準
視力(5mの距離で万国視力表による)海技士(航海)視力(矯正視力を含む)が両眼共に0.5以上であること
海技士(航海)以外視力(矯正視力を含む)が両眼で0.4以上であること
色覚船舶職員としての職務に支障をきたすおそれのある色覚の異常がないこと
聴力5m以上の距離で話声語を弁別できること
疾病及び身体機能の障害の有無心臓疾患、視覚機能の障害、精神の機能の障害、言語機能の障害、運動機能の障害その他の疾病又は身体機能の障害により船舶職員としての職務に支障をきたさないと認められること

なお、身体検査の各項目について合格基準に達した者が身体検査を受けた日から1年以内に海技試験の申請をした場合には、国土交通大臣は、認定により、その者に対する身体検査を省略することができます。

海技試験の学科試験

学科試験については下表のとおりです。なお、筆記試験と口述試験の両方が学科試験となる場合は、筆記試験に合格しない者に対しては、口述試験は行われません。

種別学科試験の内容備考
一・二級海技士(航海)筆記試験及び口述試験
三・四・五級海技士(航海)筆記試験及び口述試験英語に関する科目は口述試験
六級海技士(航海)筆記試験又は筆記試験及び口述試験筆記試験はあらかじめ公示するところにより口述試験に代えることができる
一・二級海技士(機関)筆記試験及び口述試験
三・四・五級海技士(機関)筆記試験及び口述試験執務一般に関する科目(英語に係る部分)は口述試験
六級海技士(機関)試験及び内燃機関六級海技士(機関)筆記試験又は筆記試験及び口述試験筆記試験はあらかじめ公示するところにより口述試験に代えることができる
海技士(通信)筆記試験
海技士(電子通信)筆記試験

学科試験の免除

登録船舶職員養成施設の課程を修了した者については、学科試験の全部又は一部を免除することができますが、このほかにも学科試験については、以下のような免除制度が設けられています。

海技試験を受ける者がそれぞれ下級の資格の海技士であって国土交通省令で定める乗船履歴を有する者である場合には、国土交通省令で定めるところにより、学科試験の全部又は一部を免除することができる
海技士(機関)の資格について海技試験を受ける者がその受ける海技試験に係る資格以上の機関限定をした資格の海技士である場合には、学科試験の一部を免除することができる
六級海技士(航海)又は六級海技士(機関)の資格について海技試験を受ける者が小型船舶操縦士である場合には、学科試験の一部を免除することができる
一級海技士(通信)、二級海技士(通信)、一級海技士(電子通信)、二級海技士(電子通信)又は三級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が五級海技士(航海)以上の資格の海技士である場合及び三級海技士(通信)又は四級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が六級海技士(航海)以上の資格の海技士である場合には、学科試験は免除される
海技士(通信)の資格について海技試験を受ける者が海技士(電子通信)の資格の海技士である場合(一級海技士(通信)又は二級海技士(通信)の資格について海技試験を受ける者が四級海技士(電子通信)の資格の海技士である場合を除く)及び四級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が二級海技士(通信)又は三級海技士(通信)の資格の海技士である場合には、学科試験は免除される
一級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が二級海技士(電子通信)又は三級海技士(電子通信)の資格の海技士である場合及び二級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が三級海技士(電子通信)の資格の海技士である場合には、学科試験は免除される

また、次表の海技試験を受ける者が同表に定める資格の海技士である場合には、それぞれ以下に定める試験科目について、筆記試験は行われません。

二級海技士(機関)試験機関限定がなされた二級海技士(機関)機関に関する科目(その二)
機関に関する科目(その三)
執務一般に関する科目
三級海技士(機関)試験機関限定がなされた三級海技士(機関)又はこれより上級の資格機関に関する科目(その二)
機関に関する科目(その三)
執務一般に関する科目
四級海技士(機関)試験機関限定がなされた四級海技士(機関)又はこれより上級の資格機関に関する科目(その二)
機関に関する科目(その三)
執務一般に関する科目
五級海技士(機関)試験機関限定がなされた五級海技士(機関)又はこれより上級の資格機関に関する科目(その二)
機関に関する科目(その三)
執務一般に関する科目
六級海技士(機関)試験機関限定がなされた六級海技士(機関)又はこれより上級の資格機関に関する科目(その二)
執務一般に関する科目

更新申請

海技免許は、5年ごとの更新制を採用しています。更新申請の際、その者が身体適性に関する基準を満たし、かつ、次のいずれかに該当する者であると認めるときでなければ、海技免状は更新することができません。

なお、海技士(通信)又は海技士(電子通信)に係る海技免状は、有効期間内であっても、船舶局無線従事者証明(船舶局証明)が失効したときは、その効力は失われます。

  • 定められた乗船履歴を有する者
  • 国土交通大臣が、その者の業務に関する経験を考慮して、乗船履歴を有する者と同等以上の知識及び経験を有すると認定した者
  • その資格に応じ海難防止その他の船舶職員としての職務を行うに当たり必要な事項に関する最新の知識及び能力を習得させるための講習(海技免状更新講習)であって登録海技免状更新講習の課程を修了した者

まとめ

海技免許は種別や等級が多岐にわたり、その制度は非常に複雑な構造をなしています。海技士はおもに大型船舶の職員として乗り組むための資格であり、それぞれの資格者に高水準の専門性が要求されていることからも、これは致し方ないことのように思います。まずはご自身が保有、あるいはこれから取得を目指す資格について基本的な事項を確認したうえで、適切に計画を進めることを心がけるようにしましょう。

弊所では、海技試験の申請や更新の手続きに時間を費やすことが困難な方のために、海技試験や海技免許に関する手続きのサポートを行っています。海と船舶の手続きに関するご相談は、どうぞご遠慮なくお申し付けください。

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