船員職業紹介事業について

漁船上の男性

船員職業紹介とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における船員雇用関係の成立をあっせんすることとされています。

政府以外の者は、何人も、許可を受けて行う無料の船員職業紹介事業、又は学校等が無料で行う船員職業紹介事業を除いては、船員職業紹介事業を行うことはできません。したがって、一般的な職業紹介事業とは異なり、いかなる場合も有料による船員職業紹介事業を行うことは認められていません。また、「無料船員職業紹介許可事業者の従業者は、いかなる名義でも船員職業紹介に対する報酬として賃金及び給料並びにこれらに準ずるもの以外の財産上の利益を受け、又は他人にこれを受けさせてはならない」と強い文言で報酬受領についても全面的に禁止しています。

無料の船員職業紹介事業の許可

船舶所有者を代表する団体、船員を代表する団体、船舶所有者及び船員を代表する協同の団体又は公益を目的とする団体で次の条件を具備するものは、国土交通大臣の許可を受けて、無料の船員職業紹介事業を行うことができます。

  • 当該団体の行う船員職業紹介が有料でなく、かつ、その事業が営利を目的としないこと
  • 国庫から補助金を受けないで無料の船員職業紹介事業を行うこと

無料の船員職業紹介事業を行おうとする団体は、その無料の船員職業紹介事業において取り扱う職種の範囲その他業務の範囲を定めて、告示で定める事項を記載した許可申請書に定款、寄附行為又はこれに準ずべき約款を添えて、国土交通大臣に提出して申請を行います。

国土交通大臣は、許可申請書を受理したときは、交通政策審議会の意見を聴き、条件に適合するときは、これに対し許可を与えなければならないものとされています。

従業者証票

船員職業紹介所の長は、その船員職業紹介所の所在地を管轄する地方運輸局長に、従業者であることを証明する証明書(従業者証票)の交付を申請します。これは従業者証票を滅失若しくはき損したとき又はその記載事項に変更を生じたときも同様です。船員職業紹介所の従業者は、船員職業紹介所外において業務に従事するときは、従業者証票を携帯し、官吏又は関係者の請求があったときは、これを提示しなければなりません。

また船員職業紹介所の長は、その事業の廃止又は従業者の解任その他の事由により従業者証票が不要になったときは、遅滞なく、これを船員職業紹介所の所在地を管轄する地方運輸局長に返還しなければなりません。

変更の届出

許可を受けて無料の船員職業紹介事業を行う者(無料船員職業紹介許可事業者)は、次のいずれかに該当するときは、あらかじめ、その旨を船員職業紹介所の所在地若しくは設備を変更し、若しくは船員職業紹介所を増設し、又は船員職業紹介所の取扱職種の範囲等を変更しようとする地を管轄する地方運輸局長を経由して国土交通大臣に届け出なければなりません。

  • 船員職業紹介所の所在地若しくは設備を変更し、又は船員職業紹介所を増設しようとするとき
  • 取扱職種の範囲等を変更しようとするとき
兼業の制限

無料船員職業紹介許可事業者及びその従業者は、両替、質屋、酒類の販売、飲食店、日用品の販売及び宿泊所の業務を行うこと、並びにこれらの業務を行う者と通謀して利を図ることはできません。ただし、無料船員職業紹介許可事業者は、国土交通大臣の許可を受けたときは、飲食店、日用品の販売、又は宿泊所の業務を行うことができます。

この許可を受けようとする者は、告示で定める事項を記載した許可申請書を国土交通大臣に提出して申請を行います。

帳簿書類の作成等

無料船員職業紹介許可事業者は、その業務に関して告示で定める帳簿書類を作成し、用済後3年間、その事務所に備え置く必要があります。

無料船員職業紹介許可事業者は、毎年4月30日までに、その年の前年の4月1日からその年の3月31日までの間における船員職業紹介所ごとの船員職業紹介事業に係る事業報告書を作成し、国土交通大臣に提出しなければならないものとされています。

事業報告書には、船員職業紹介所ごとの当該船員職業紹介事業に係る求職者の数その他船員職業紹介に関する事項を記載します。

学校等の行う無料の船員職業紹介事業

以下の施設の長は、国土交通大臣に届け出て、それぞれ以下に定める者について、無料の船員職業紹介事業を行うことができます。

学校(小学校及び幼稚園を除く)当該学校の学生生徒等、学校が委託を受けて行う船員の教育訓練を受ける者又は当該船員の教育訓練を修了した者
専修学校当該専修学校の生徒又は当該専修学校を卒業した者、専修学校が委託を受けて行う船員の教育訓練を受ける者又は当該船員の教育訓練を修了した者
国立研究開発法人水産研究・教育機構、独立行政法人海技教育機構当該独立行政法人の行う船員の教育訓練を受ける者又は当該船員の教育訓練を修了した者、当該独立行政法人が委託を受けて行う船員の教育訓練を受ける者又は当該船員の教育訓練を修了した者

無料の船員職業紹介事業を行う施設の長は、施設の職員のうちから、船員職業紹介事業に関する業務を担当する者を定めて、自己に代わってその業務を行わせることができます。

無料の船員職業紹介事業を行おうとする施設の長は、その取扱職種の範囲等を定めて、学校等無料の船員職業紹介事業届出書に業務の運営に関する規程を添えて、国土交通大臣に提出して届出を行います。

このほか、帳簿書類の作成等の規定については、許可を受けた無料の船員職業紹介事業と同様です。

船員の募集

船舶所有者は、その被用者以外の者に報酬を与えて船員の募集を行わせようとするときは、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。船員の募集を行う者(募集受託者)は、同時に2以上の船舶所有者のため募集を行うことはできません。

船舶所有者、船員の募集に従事する被用者及び募集受託者は、募集に応じた者から、いかなる名義でも財産上の利益を受けてはならず、船舶所有者は、募集に従事する被用者に対し、いかなる名義でもその募集に対する報酬として、金銭その他の財物を給与することはできません。 また船員の募集に従事する被用者及び募集受託者は、その募集を他人に再委託することができません。

まとめ

船員に関しては、その労働形態の特殊性から、法令にも一般労働者のものとは異なる定めが設けられていることが珍しくありません。労働基準法は、その内容についても一般の認知が高いメジャーな法律といえますが、同じような物差しで船員労働を測ることはできません。

このようなことからも、船員の雇用については、船員法や船員職業安定法といった船員労働法規に精通した専門家に相談することができる環境を整えることが重要です。弊所においても船員労働や雇用に関するサポートを取り扱っておりますので、海や船舶の手続きのほか、これらのご相談についてもどうぞお気軽にお問い合わせください。

事務所の最新情報をお届けします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA