マグロでも分かる船員法の解説⑪【監督・雑則・罰則編】

船員法は、船員の雇入契約や給料、労働時間、有給休暇などを定めた法律であり、一般労働者で言うところの、労働基準法にあたる法律です。
船員労働には、長時間陸上から孤立し、「労働」と「生活」とが一致した24時間体制の就労があり、かつ、常に動揺にさらされる船内では、危険な作業をともなうなどの特殊性があることから、労働基準法とは異なる規律が必要です。そのため、船員には、厚生労働省が所管する労働基準法ではなく、国土交通省が所管する船員法が適用されます。
他方、一般社会において船員法を意識する機会はほとんどなく、改めてこれを検索しようにも、そもそも詳しく解説した文献はほとんど存在していません。
そこで当サイトでは、「マグロでも分かる海事法令」シリーズとして、「船員法」について深掘りした解説を行うことにしました。本編では、船員法に規定される「監督・雑則・罰則」について解説しています。
★船員法の構成
- 第1章 – 総則
- 第2章 – 船長の職務及び権限
- 第3章 – 紀律
- 第4章 – 雇入契約等
- 第5章 – 給料その他の報酬
- 第6章 – 労働時間、休日及び定員
- 第7章 – 有給休暇
- 第8章 – 食料並びに安全及び衛生
- 第9章 – 年少船員
- 第9章の2 – 女子船員
- 第10章 – 災害補償
- 第11章 – 就業規則
- 第11章の2 – 船員の労働条件等の検査等
- 第11章の3 – 登録検査機関
- 第12章 – 監督
- 第13章 – 雑則
- 第14章 – 罰則
- 附則
目 次
- 1 監督
- 2 雑則
- 2.1 就業規則等の掲示等
- 2.2 報酬、補償及び手当の調整
- 2.3 譲渡又は差押の禁止
- 2.4 付加金の支払
- 2.5 時効の特則
- 2.6 航海当直部員
- 2.7 航海当直部員の職務
- 2.8 航海当直部員の認定等
- 2.9 危険物等取扱責任者
- 2.10 危険物等取扱責任者の乗組みに関する基準
- 2.11 危険物等取扱責任者の認定等
- 2.12 特定海域運航責任者
- 2.13 救命艇手
- 2.14 旅客船の乗組員
- 2.15 高速船の乗組員
- 2.16 船舶所有者による小型船舶の乗組員に対する教育訓練
- 2.17 特定小型船舶所有者による特定小型船舶の乗組員に対する教育訓練等
- 2.18 船内苦情処理手続
- 2.19 戸籍証明
- 2.20 船舶職員及び小型船舶操縦者法の一部の適用除外
- 3 罰則
- 4 まとめ
監督
国土交通大臣は、船員法、労働基準法(船員の労働関係について適用される部分に限る)又は船員法に基づいて発する命令に違反する事実があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、その違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができるほか、この命令を発したにもかかわらず、船舶所有者又は船員がその命令に従わない場合において、船舶の航海の安全を確保するため特に必要があると認めるときは、その船舶の航行の停止を命じ、又はその航行を差し止めることができます。
また、船舶の航行の停止を命じ又はその航行を差し止める場合において、その船舶が航行中であるときは、国土交通大臣は、その船舶の入港すべき港を指定することができます。
ただし、上記の規定により処分を受けた船舶について、処分事由となる事実がなくなったと認めるときは、国土交通大臣は、直ちにその処分を取り消す必要なあります。
また、国土交通大臣は、船舶所有者及び船員の間に生じた労働関係に関する紛争(個別労働関係紛争であって地方運輸局長(運輸監理部長を含む)が指名するあっせん員があっせんを委任されたものを除く)の解決について、あっせんすることができます。
外国における国土交通大臣の事務
船員法によって国土交通大臣の行うべき以下の事務は、外国にあっては、日本の領事官がこれを行います。
- 遺留品目録の受理
- 遺留品目録の証明
- 航行に関する報告の受理
- 航行に関する報告書の証明
- 雇入契約の成立等の届出の受理及び雇入契約の確認
- 欠員の許可並びに欠員の届出の受理及び欠員の補充命令
- 18歳未満の者の認証
- あっせん
なお、領事官の行う事務に係る処分又はその不作為についての審査請求は、国土交通大臣に対して行うものとされていますが、不作為についての審査請求については、国土交通大臣に代えて、不作為に係る領事官に対してすることもできます。
市町村が処理する事務
船員法に規定する国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、国土交通大臣の指定する市町村長が行うこととすることができます。
なお、市町村長のした事務(地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務であるものに限る)に係る処分についての審査請求は、国土交通大臣に対して行うものとされていますが、処分の不作為についての審査請求は、市町村長、都道府県知事又は国土交通大臣のいずれかに対して行うものとされています。
船員労務官
国土交通大臣は、所部の職員の中から船員労務官を命じ、船員法及び労働基準法の施行に関する事項を掌らせます。
船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、船員法、労働基準法及び船員法に基いて発する命令の遵守に関し注意を喚起し、又は勧告をすることができます。
さらに、船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者、船員その他の関係者に出頭を命じ、帳簿書類を提出させ、若しくは報告をさせ、船舶その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、又は船舶所有者、船員その他の関係者若しくは旅客その他船内にある者に対して質問をすることができます。この場合において船員労務官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示する必要があります。
なお、船員労務官による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈することはできません。
その一方で、船員労務官は、船員法、労働基準法及び船員法に基づいて発する命令の違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察員の職務を行います。
また、船員労務官は、国土交通大臣の権限に属する以下の権限を、即時に行うことができます。
- 船員法等に基づき国土交通大臣が命令を発したにもかかわらず、船舶所有者又は船員がその命令に従わない場合において、船舶の航海の安全を確保するため船舶の航海の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その船舶の航行の停止を命じ、又はその航行を差し止めることができること
- 上記の場合において、その船舶が航行中であるときは、国土交通大臣は、その船舶の入港すべき港を指定することができること
- 国土交通大臣が特定小型船舶所有者に対し特定小型船舶の乗組員に対する教育訓練の実施義務違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命じたにもかかわらず、特定小型船舶所有者がその命令に従わない場合において、特定小型船舶の航海の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その特定小型船舶の航行の停止を命じ、又はその航行を差し止めることができること
- 上記の場合において、その特定小型船舶が航行中であるときは、その特定小型船舶の入港すべき港を指定することができること
★守秘義務
船員労務官は、たとえ船員労務官を退職した後においても、職務上知り得た秘密については、これを漏してはなりません。
交通政策審議会等の権限
交通政策審議会等は、国土交通大臣の諮問に応じ、船員法及び労働基準法の施行又は改正に関する事項を調査審議するほか、船員の労働条件に関して、関係行政官庁に建議することができます。
報告事項
船舶所有者は、使用船員の数、給料その他の報酬の支払状況及び災害補償の実施状況等の事項について、それぞれ以下の期日までに、所轄地方運輸局長を通じ、国土交通大臣に対して報告を行う義務を負います。
| 毎年10月1日現在の事業状況 | 毎年10月末日 |
| 前年4月1日以後1年間に発生した災害又は疾病のために船員が引き続き3日以上休業したときは、その内容、原因その他参考事項(※) | 毎年4月末日 |


船員等の申告
船員は、船員法、労働基準法又は船員法に基づいて発する命令に違反する事実について、特定小型船舶の乗組員は、船員法又は船員法に基づいて発する命令に違反する事実について、それぞれ書面又は口頭により、国土交通大臣、地方運輸局長、運輸支局長、地方運輸局、運輸監理部若しくは運輸支局の事務所の長又は船員労務官に対し、その事実を申告することができます。
船舶所有者又は特定小型船舶所有者は、前項の申告をしたことを理由として、船員又は特定小型船舶の乗組員を解雇しその他船員又は特定小型船舶の乗組員に対して不利益な取扱いをすることはできません。
雑則
雑則的規定としては、船員法全般に関する技術的・手続的な事項等の細かな事項が定められます。
就業規則等の掲示等
船舶所有者等は、それぞれ下表の書類について、定められた場所に掲示し、又は備え置く必要があります。
| 船舶所有者 | 船員法、労働基準法、船員法に基づく命令、労働協約、就業規則(所轄地方運輸局長の届出受理証明のある有効なもの)並びに協定を記載した書類 | 船内及びその他の事業場内の見やすい場所に掲示し、又は備え置くこと |
| 船舶所有者(漁船その他第百条の二第一項の国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶の船舶所有者を除く) | 2006年の海上の労働に関する条約を記載した書類 | 船内及びその他の事業場内の見やすい場所に掲示し、又は備え置くこと |
| 海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶の船舶所有者 | ①海上労働証書又は臨時海上労働証書の写し ②海上労働遵守措置認定書の写し | 船内及びその他の事業場内の見やすい場所に掲示すること |
報酬、補償及び手当の調整
船舶所有者は、給料その他の報酬、失業手当、送還手当、傷病手当又は行方不明手当のうち、複数をともに支払うべき期間については、いずれか多額のものを支払えば足りるものとされています。
また、給料その他の報酬を支払うべき場合において雇止手当又は予後手当を支払うべきときは、給料その他の報酬を支払うべき限度において、雇止手当又は予後手当の支払の義務を免れます。
譲渡又は差押の禁止
以下の権利については、これを譲り渡し、又は差し押えることができません。
- 失業手当、雇止手当、送還の費用、送還手当又は災害補償を受ける権利
- 給料その他の報酬及び上記の手当をともに支払うべき期間についての給料その他の報酬を受ける権利(これらの手当の額に相当する部分に関するものに限る)
付加金の支払
船舶所有者は、解雇の予告、失業手当、雇止手当、送還、送還手当、補償休日手当、割増手当又は有給休暇中の報酬の規定に違反したときは、これらの規定により船舶所有者が支払うべき金額(送還の規定に違反したときは、送還の費用)についての請求の時における未払金額に相当する額の付加金を船員に支払う必要があります。
船員は、違反のあった時から5年以内に提起した裁判所に対する訴えによってのみ前項の付加金の支払を請求することができます。
時効の特則
船員の船舶所有者に対する債権並びに船舶所有者に対する行方不明手当、遺族手当及び葬祭料の債権は、これを行使することができる時から2年間(給料その他の報酬の債権にあっては5年間)行使しないときは、時効によって消滅します。
航海当直部員
船舶所有者は、以下の船舶の甲板部又は機関部の航海当直をすべき職務を有する部員(航海当直部員)として部員を乗り組ませようとする場合には、それぞれ甲板部航海当直部員又は機関部航海当直部員の資格の認定をした旨の証印を受けている者を乗り組ませる必要があります。
- 平水区域を航行区域とする船舶以外の船舶
- 平水区域を航行区域とする船舶であって総トン数700トン以上のもの
- 専ら平水区域又は船員法第1条第2項第3号の漁船の範囲を定める政令第2号の漁船の範囲を定める省令別表の海域において従業する漁船以外の漁船
★船員法第1条第2項第3号の漁船の範囲を定める政令第2号の漁船の範囲を定める省令別表の海域
| 陸奥湾 | 青森県焼山埼から同県高野埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 富山湾 | 富山県生地鼻から石川県大泊鼻まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 若狭湾 | 福井県越前岬から同県特牛埼まで引いた線、同地点から同県鋸埼まで引いた線、同地点から京都府毛島北端まで引いた線、同地点から同府経ケ岬まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 東京湾 | 千葉県洲埼から神奈川県剣埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 伊勢湾 | 愛知県伊良湖岬から三重県大王埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 英虞湾等 | 三重県麦埼から同県九木埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 瀬戸内海 | 和歌山県日ノ御埼から徳島県蒲生田岬まで引いた線、愛媛県佐田岬から大分県関埼まで引いた線、山口県旧火ノ山下船舶通航信号所跡から福岡県門司埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 宇和海及び宿毛湾 | 愛媛県佐田岬から高知県姫島西端まで引いた線、同地点から同県沖ノ島櫛ケ鼻まで引いた線、同島東端から同県オシメ鼻まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 唐津湾 | 福岡県大門埼から佐賀県土器埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 伊万里湾 | 佐賀県大埼から長崎県阿翁崎鼻まで引いた線、同地点から同県黒島本網代鼻まで引いた線、同島ネイネイ鼻から同県青島ゴンブリ鼻まで引いた線、同島丸島鼻から同県津埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 大村湾 | 長崎県寄船埼から同県高後埼まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 有明海、橘湾及び八代海 | 長崎県野母埼から同県樺島南端まで引いた線、同地点から熊本県天草下島四季咲岬まで引いた線、同島台場ノ鼻から鹿児島県長島大埼まで引いた線、同島神埼から同県鵜瀬鼻まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
| 鹿児島湾 | 鹿児島県立目埼から同県開聞岬まで引いた線及び陸岸により囲まれた海域 |
また、船舶所有者は、船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則第2条の2第2項から第5項までに規定する基準(近代化船の基準)に適合する船舶に乗り組む甲板部及び機関部の両部の航海当直をすべき職務を有する部員又は乗組み基準外運航士として部員を乗り組ませようとする場合には、航海当直部員の乗組みに関する以下の基準に従う必要があります。
- 甲種甲板・機関部航海当直部員又は乙種甲板・機関部航海当直部員の資格の認定をした旨の証印を受けている者を乗り組ませること
- 部員の過半数は甲種甲板・機関部航海当直部員の資格の認定をした旨の証印を受けている者とすること
★近代化船の基準
| 第一種基準 | ①機関区域無人化船に係る船舶安全法第2条第1項の規定に基づく基準に適合する船舶であること ②燃料油タンクの船外からの注油管の弁の遠隔制御装置(弁の配置により遠隔制御を要しない船舶を除く)、燃料油タンク(機関室内のものを除く)の遠隔液面監視装置及び高位警報装置、主機の運転状態の自動記録装置、衛星航法装置、自動操舵装置、船首及び船尾の係船装置の遠隔制御装置、液体貨物の遠隔制御荷役装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、遠隔制御バラスト水張排水装置(荷役時において特に船体の傾斜及びトリムの制御を要する船舶に限る)、荷役用のサイド・ポート、ランプ・ウェイ及び暴露甲板鋼製ハッチ・カバー(ポンツーン型のものを除く)の動力開閉装置及び海事衛星通信装置を有すること ③総トン数5,000トン以上で、かつ、出力6,000kw以上の推進機関を有する遠洋区域を航行区域とする船舶であること ④船舶の設備、用途及び就航航路に応じて停泊中における船舶の設備の点検及び整備その他の作業に係る支援体制が確保されていることについて、国土交通大臣の認定を受けたものであること |
| 第二種基準 | ①機関区域無人化船に係る船舶安全法第2条第1項の規定に基づく基準に適合する船舶であること ②総トン数5,000トン以上で、かつ、出力6,000kw以上の推進機関を有する遠洋区域を航行区域とする船舶であること ③燃料油タンクの船外からの注油管の弁の遠隔制御装置(弁の配置により遠隔制御を要しない船舶を除く)、燃料油タンク(機関室内のものを除く)の遠隔液面監視装置及び高位警報装置、主機の運転状態の自動記録装置、機関の運転状態の集中監視装置(船橋に設置されるものに限る)、衛星航法装置、自動衝突予防援助装置、自動操舵装置、船首及び船尾の係船装置の遠隔制御装置、液体貨物の荷役ホースの揚卸装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、液体貨物の遠隔制御荷役装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、遠隔制御バラスト水張排水装置(荷役時において特に船体の傾斜及びトリムの制御を要する船舶に限る)、荷役用のサイド・ポート、ランプ・ウェイ及び暴露甲板鋼製ハッチ・カバー(ポンツーン型のものを除く)の動力開閉装置、非常用えい索の動力巻取装置(ばら積みの引火性高圧ガス及び引火性液体類を輸送するために使用される船舶に限る)、冷凍装置付きコンテナの保冷状態の集中監視装置(コンテナ貨物を輸送するために使用される船舶に限る)及び海事衛星通信装を有すること ④船舶の設備、用途及び就航航路に応じて停泊中における船舶の設備の点検及び整備その他の作業に係る支援体制が確保されていることについて、国土交通大臣の認定を受けたものであること |
| 第三種基準 | ①機関区域無人化船に係る船舶安全法第2条第1項の規定に基づく基準に適合する船舶であること ②総トン数5,000トン以上で、かつ、出力6,000kw以上の推進機関を有する遠洋区域を航行区域とする船舶であること ③燃料油タンクの船外からの注油管の弁の遠隔制御装置(弁の配置により遠隔制御を要しない船舶を除く)、燃料油タンク(機関室内のものを除く)の遠隔液面監視装置及び高位警報装置、主機の運転状態の自動記録装置、機関の運転状態の集中監視装置(船橋に設置されるものに限る)、機関の集中制御装置(船橋に設置されるものに限る)、無線電信室(船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令別表第四号の表の適用を受ける船舶において船橋に設置されるものに限る)、衛星航法装置、自動衝突予防援助装置、自動操舵装置、船首及び船尾の係船装置の遠隔制御装置(係船機のドラムを独立して制御できるものに限る)、船首及び船尾の係船装置の遠隔制御装置(係船機のドラムを独立して制御できるものに限る)、液体貨物の荷役ホースの揚卸装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、液体貨物の遠隔制御荷役装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、遠隔制御バラスト水張排水装置(荷役時において特に船体の傾斜及びトリムの制御を要する船舶に限る)、荷役用のサイド・ポート、ランプ・ウェイ及び暴露甲板鋼製ハッチ・カバー(ポンツーン型のものを除く)の動力開閉装置、非常用えい索の動力巻取装置(ばら積みの引火性高圧ガス及び引火性液体類を輸送するために使用される船舶に限る)、水先人用はしごの動力巻取装置、冷凍装置付きコンテナの保冷状態の集中監視装置(コンテナ貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、固定式甲板洗浄装置(ばら積みの石炭、鉄鉱石又はこれらに類似する貨物を輸送するために使用される船舶に限る)及び海事衛星通信装置を有すること ④船舶の設備、用途及び就航航路に応じて停泊中における船舶の設備の点検及び整備その他の作業に係る支援体制が確保されていることについて、国土交通大臣の認定を受けたものであること |
| 第四種基準 | ①機関区域無人化船に係る船舶安全法第2条第1項の規定に基づく基準に適合する船舶であること ②総トン数5,000トン以上で、かつ、出力6,000kw以上の推進機関を有する遠洋区域を航行区域とする船舶であること ③燃料油タンクの船外からの注油管の弁の遠隔制御装置(弁の配置により遠隔制御を要しない船舶を除く)、燃料油タンク(機関室内のものを除く)の遠隔液面監視装置及び高位警報装置、主機の運転状態の自動記録装置、機関の運転状態の集中監視装置(船橋に設置されるものに限る)、機関の集中制御装置(船橋に設置されるものに限る)、主機の遠隔制御及び操舵だ装置(船橋の両ウイングで使用できるものに限る)、無線電信室(船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令別表第四号の表の適用を受ける船舶において船橋に設置されるものに限る)、衛星航法装置、自動衝突予防援助装置、自動操舵装置、船首及び船尾の係船装置の遠隔制御装置(係船機のドラムを独立して制御できるものに限る)、液体貨物の荷役ホースの揚卸装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、液体貨物の遠隔制御荷役装置(ばら積みの液体貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、遠隔制御バラスト水張排水装置(荷役時において特に船体の傾斜及びトリムの制御を要する船舶に限る)、荷役用のサイド・ポート、ランプ・ウェイ及び暴露甲板鋼製ハッチ・カバー(ポンツーン型のものを除く)の動力開閉装置、非常用えい索の動力巻取装置(ばら積みの引火性高圧ガス及び引火性液体類を輸送するために使用される船舶に限る)、水先人用はしごの動力巻取装置、冷凍装置付きコンテナの保冷状態の集中監視装置(コンテナ貨物を輸送するために使用される船舶に限る)、固定式甲板洗浄装置(ばら積みの石炭、鉄鉱石又はこれらに類似する貨物を輸送するために使用される船舶に限る)及び海事衛星通信装置を有すること ④船舶の設備、用途及び就航航路に応じて停泊中における船舶の設備の点検及び整備その他の作業に係る支援体制が確保されていることについて、国土交通大臣の認定を受けたものであること |
航海当直部員の職務
航海当直部員は、それぞれ下表の職務を、上長(部員である者を除く)の職務上の命令に従って行います。
| 甲板部の航海当直部員の職務 | 船舶の位置、針路及び速力の測定、見張り、気象及び水象に関する情報の収集及び解析、船舶の操縦、航海機器の作動状態の点検、係船索及びいかりの取扱い、船内の巡回、船外との通信連絡、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する引継ぎ及び記録の作成 |
| 機関部の航海当直部員の職務 | 機関の作動状態の監視及び点検、機関の操作、機関区域内の巡回、機関の故障その他の機関に係る異常な事態の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する引継ぎ及び記録の作成 |
| 船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則第2条の2第2項から第5項までに規定する基準に適合する船舶に乗り組む甲板部及び機関部の両部の航海当直をすべき職務を有する部員又は乗組み基準外運航士 | 上記の職務 |
航海当直部員の認定等
地方運輸局の事務所の長は、航海当直部員の資格の区分ごとに、下表の要件に適合する者について認定を行い、国土交通大臣は、認定した者に対し、その者の船員手帳に認定をした旨の証印を行います。
| 甲板部航海当直部員 | ①16歳以上であること ②康証明書を受有していること ③甲板部の航海当直若しくはこれに準ずる業務に6か月以上従事した経験を有すること又は船内における業務に2か月以上従事した経験を有し、かつ、甲板部の航海当直に従事するための教育を修めたこと |
| 機関部の航海当直部員の職務 | ①16歳以上であること ②康証明書を受有していること ③機関部の航海当直若しくはこれに準ずる業務に6か月以上従事した経験を有すること。又は船内における業務に2か月以上従事した経験を有し、かつ、機関部の航海当直に従事するための教育を修めたこと |
| 船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則第2条の2第2項から第5項までに規定する基準に適合する船舶に乗り組む甲板部及び機関部の両部の航海当直をすべき職務を有する部員又は乗組み基準外運航士 | ①16歳以上であること ②康証明書を受有していること ③次のいずれかに適合すること ⅰ.3年以上甲板部の勤務に従事し、かつ、海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上機関部の勤務に従事した者 ⅱ.3年以上機関部の勤務に従事し、かつ、海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上甲板部の勤務に従事した者 ⅲ.3年以上甲板部の勤務に従事し、かつ、独立行政法人海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上機関部の勤務に従事した者 ⅳ.3年以上機関部の勤務に従事し、かつ、独立行政法人海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上甲板部の勤務に従事した者 ⅴ.海員学校の高等科又は専修科を卒業後、3年以上甲板部の勤務に従事し、かつ、3か月以上機関部の勤務に従事した者 ⅵ.海員学校の高等科又は専修科を卒業後、3年以上機関部の勤務に従事し、かつ、3か月以上甲板部の勤務に従事した者 ⅶ.海員学校の高等科又は専修科を卒業後、6か月以上船内において甲板部及び機関部の両部の航海当直をすべき職務を有する部員となるための教育訓練を受けた者(高等科を卒業した者にあっては昭和59年以後に卒業した者に限る) ⅷ.海員学校の本科を卒業した者(昭和63年以後に卒業した者に限る)又は専修科を卒業した者(平成6年以後に卒業した者に限る) ⅸ.独立行政法人海員学校の本科又は専修科を卒業した者 ⅹ.独立行政法人海技教育機構の海技士教育科海技課程本科又は専修科を卒業した者 ⅺ.ⅰからⅵまでに掲げる者と同等以上の能力を有すると国土交通大臣が認めた者 ④甲板部又は機関部の勤務に従事した期間(航海当直部員の資格の認定をした旨の証印を受けて部員として勤務した期間を除く)の2分の1の期間及び航海当直部員の資格の認定をした旨の証印を受けて部員として勤務した期間が通算して4年以上あること |
| 乙種甲板・機関部航海当直部員 | ①16歳以上であること ②康証明書を受有していること ③次のいずれかに適合すること ⅰ.3年以上甲板部の勤務に従事し、かつ、海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上機関部の勤務に従事した者 ⅱ.3年以上機関部の勤務に従事し、かつ、海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上甲板部の勤務に従事した者 ⅲ.3年以上甲板部の勤務に従事し、かつ、独立行政法人海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上機関部の勤務に従事した者 ⅳ.3年以上機関部の勤務に従事し、かつ、独立行政法人海技大学校の講習科の課程であって国土交通大臣が告示で定めるものを修了後、6か月以上甲板部の勤務に従事した者 ⅴ.海員学校の高等科又は専修科を卒業後、3年以上甲板部の勤務に従事し、かつ、3か月以上機関部の勤務に従事した者 ⅵ.海員学校の高等科又は専修科を卒業後、3年以上機関部の勤務に従事し、かつ、3か月以上甲板部の勤務に従事した者 ⅶ.海員学校の高等科又は専修科を卒業後、6か月以上船内において甲板部及び機関部の両部の航海当直をすべき職務を有する部員となるための教育訓練を受けた者(高等科を卒業した者にあっては昭和59年以後に卒業した者に限る) ⅷ.海員学校の本科を卒業した者(昭和63年以後に卒業した者に限る)又は専修科を卒業した者(平成6年以後に卒業した者に限る) ⅸ.独立行政法人海員学校の本科又は専修科を卒業した者 ⅹ.独立行政法人海技教育機構の海技士教育科海技課程本科又は専修科を卒業した者 ⅺ.ⅰからⅵまでに掲げる者と同等以上の能力を有すると国土交通大臣が認めた者 |
航海当直部員の認定を申請しようとする者は、船員手帳及び認定を受けようとする資格に係る要件に適合することを証する書類を提示して、申請書を地方運輸局の事務所の長に提出します。
国土交通大臣は、証印を受けている者が、その職務に関して船員法又は船員法に基づく命令に違反したときは、その者に対し船員手帳の提出を命じ、その証印を抹消することができるほか、この規定により証印を抹消され、その日から1年を経過しない者に対しては、この証印をしないことができます。
危険物等取扱責任者
船舶所有者は、平水区域を航行区域とするタンカー以外の石油タンカー(ばら積みの石油及び石油製品を輸送するために使用されるタンカー)、液体化学薬品タンカー(ばら積みの液体化学薬品を輸送するために使用されるタンカー)及び液化ガスタンカー(ばら積みの液化ガスを輸送するために使用されるタンカー)又は平水区域を航行区域とする液化天然ガス等燃料船以外の低引火点燃料船(貨物を燃料とする液化ガスタンカーを除く、引火点が摂氏60度以下の低引火点燃料を使用する船舶)には、危険物又は有害物の取扱いに関する業務を管理すべき職務を有する者(危険物等取扱責任者)として、証印を受けている者を乗り組ませる必要があります。
危険物等取扱責任者の乗組みに関する基準
船舶所有者は、危険物等取扱責任者を乗り組ませるべきタンカーには、船長又は海員として、それぞれ下表に該当する危険物等取扱責任者の資格の認定をした旨の証印を受けている者を乗り組ませる必要があります。
| ① | 石油タンカーの船長、一等航海士又は運航士(四号職務)、機関長及び一等機関士又は運航士(五号職務) | 甲種危険物等取扱責任者(石油) | 危険物又は有害物であるばら積みの液体貨物の積込み及び取卸しの作業に関する計画の立案、その作業の指揮監督、その作業に関し必要な船外との通信連絡、その貨物に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する記録の作成 |
| ② | 液体化学薬品タンカーの船長、一等航海士又は運航士(四号職務)、機関長及び一等機関士又は運航士(五号職務) | 甲種危険物等取扱責任者(液体化学薬品) | 危険物又は有害物であるばら積みの液体貨物の積込み及び取卸しの作業に関する計画の立案、その作業の指揮監督、その作業に関し必要な船外との通信連絡、その貨物に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する記録の作成 |
| ③ | 液化ガスタンカーの船長、一等航海士又は運航士(四号職務)、機関長及び一等機関士又は運航士(五号職務) | 甲種危険物等取扱責任者(液化ガス) | 危険物又は有害物であるばら積みの液体貨物の積込み及び取卸しの作業に関する計画の立案、その作業の指揮監督、その作業に関し必要な船外との通信連絡、その貨物に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する記録の作成 |
| ④ | ③の海員以外の海員であって石油タンカー又は液体化学薬品タンカーに積載される危険物又は有害物の取扱いに関し責任を有するもの | 甲種危険物等取扱責任者(石油)、甲種危険物等取扱責任者(液体化学薬品)又は乙種危険物等取扱責任者(石油・液体化学薬品) | 危険物又は有害物であるばら積みの液体貨物の積込み及び取卸しの作業に関する現場における指揮監督、その貨物に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する記録の作成 |
| ⑤ | ①から③までに掲げる海員以外の海員であって液化ガスタンカーに積載される危険物又は有害物の取扱いに関し責任を有するもの | 甲種危険物等取扱責任者(液化ガス)又は乙種危険物等取扱責任者(液化ガス) | 危険物又は有害物であるばら積みの液体貨物の積込み及び取卸しの作業に関する現場における指揮監督、その貨物に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施並びにこれらの業務に関する記録の作成 |
また、船舶所有者は、危険物等取扱責任者を乗り組ませるべき液化天然ガス等燃料船には、船長又は海員として、それぞれ下表に該当すら。危険物等取扱責任者の資格の認定をした旨の証印を受けている者を乗り組ませる必要があります。
| ① | 低引火点燃料船の船長、機関長及び機関士又は運航士(五号職務) | 甲種危険物等取扱責任者(低引火点燃料) | 危険物又は有害物である燃料を供給する作業に関する計画の立案、その作業の指揮監督、その作業に関し必要な船外との通信連絡、その燃料に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施及びこれらの業務に関する記録の作成 |
| ② | ①の海員以外の海員であって低引火点燃料船の燃料として使用される危険物又は有害物の取扱いに関し責任を有するもの | 甲種危険物等取扱責任者(低引火点燃料)又は乙種危険物等取扱責任者(低引火点燃料) | 危険物又は有害物である燃料を供給する作業に関する現場における指揮監督、その燃料に係る保安の監督、火災その他の災害の発生時における応急措置の実施及びこれらの業務に関する記録の作成 |
危険物等取扱責任者の認定等
地方運輸局の事務所の長は、危険物等取扱責任者の資格の区分ごとに、下表の要件に適合する者又は要件と同等の能力を有することを証する1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(以下、条約)の締約国が発給した条約に適合する危険物又は有害物の取扱いに関する業務の管理に関する資格証明書(締約国危険物等取扱責任者資格証明書)を受有する者であって国土交通大臣が告示で定める基準に適合するものについて認定を行い、国土交通大臣は、その者に対し、その者の船員手帳に認定をした旨の証印を行います。
| 甲種危険物等取扱責任者(石油) | ①石油タンカーにおいて、危険物等取扱責任者の認定の申請の日以前5年以内に、船長又は一等航海士若しくは運航士(四号職務)であれば船長又は甲板部の職員若しくは甲板部の部員であって甲板部の部員が行うべき作業全般に関し責任を有するものに、機関長又は一等機関士若しくは運航士(五号職務)であれば機関部の職員又は機関部の部員であって機関部の部員が行うべき作業全般に関し責任を有するものに、3か月以上従事した経験を有すること又は国土交通大臣がこれと同等以上の経験を有するものとして告示で定める基準に適合すること ②申請日以前5年以内に、消火、タンカーの安全の確保、海洋汚染の防止等に関する講習であって国土交通大臣の登録を受けたを修了したこと |
| 甲種危険物等取扱責任者(液体化学薬品) | ①液体化学薬品タンカーにおいて、危険物等取扱責任者の認定の申請の日以前5年以内に、船長又は一等航海士若しくは運航士(四号職務)であれば船長又は甲板部の職員若しくは甲板部の部員であって甲板部の部員が行うべき作業全般に関し責任を有するものに、機関長又は一等機関士若しくは運航士(五号職務)であれば機関部の職員又は機関部の部員であって機関部の部員が行うべき作業全般に関し責任を有するものに、3か月以上従事した経験を有すること又は国土交通大臣がこれと同等以上の経験を有するものとして告示で定める基準に適合すること ②申請日以前5年以内に、消火、タンカーの安全の確保、海洋汚染の防止等に関する講習であって国土交通大臣の登録を受けたを修了したこと |
| 甲種危険物等取扱責任者(液化ガス) | ①液化ガスタンカーにおいて、危険物等取扱責任者の認定の申請の日以前5年以内に、船長又は一等航海士若しくは運航士(四号職務)であれば船長又は甲板部の職員若しくは甲板部の部員であって甲板部の部員が行うべき作業全般に関し責任を有するものに、機関長又は一等機関士若しくは運航士(五号職務)であれば機関部の職員又は機関部の部員であって機関部の部員が行うべき作業全般に関し責任を有するものに、3か月以上従事した経験を有すること又は国土交通大臣がこれと同等以上の経験を有するものとして告示で定める基準に適合すること ②申請日以前5年以内に、消火、タンカーの安全の確保、海洋汚染の防止等に関する講習であって国土交通大臣の登録を受けたを修了したこと |
| 乙種危険物等取扱責任者(石油・液体化学薬品) | ①消火に関する訓練を修了し、かつ、石油タンカー又は液体化学薬品タンカーにおいて、申請日以前5年以内に、船長、一等航海士、運航士(四号職務)、機関長、一等機関士又は運航士(五号職務)の監督の下に危険物又は有害物の取扱いに関する作業を3か月以上行った経験(経験の内容が国土交通大臣が告示で定める基準に適合すると船長が認めること)を有すること、又は②申請日以前5年以内に、消火並びにタンカーの安全の確保及び海洋汚染の防止のための基本的な措置に関し国土交通大臣が告示で定める基準に適合する講習の課程を修了したこと |
| 乙種危険物等取扱責任者(液化ガス) | ①消火に関する訓練を終了し、かつ、液化ガスタンカーにおいて、申請日以前5年以内に、船長、一等航海士、運航士(四号職務)、機関長、一等機関士又は運航士(五号職務)の監督の下に危険物又は有害物の取扱いに関する作業を3か月以上行った経験(経験の内容が国土交通大臣が告示で定める基準に適合すると船長が認めること)を有すること、又は②申請日以前5年以内に、消火並びにタンカーの安全の確保及び海洋汚染の防止のための基本的な措置に関し国土交通大臣が告示で定める基準に適合する講習の課程を修了したこと |
危険物等取扱責任者の認定を申請しようとする者は、船員手帳並びに認定を受けようとする資格に係る要件に適合することを証する書類又は締約国危険物等取扱責任者資格証明書及び国土交通大臣が告示で定める基準に適合することを証する書類を提示して、申請書を地方運輸局の事務所の長に提出します。
これらの規定は、甲種危険物等取扱責任者(低引火点燃料)及び乙種危険物等取扱責任者(低引火点燃料)にも準用されています。
国土交通大臣は、証印を受けている者が、その職務に関して船員法又は船員法に基づく命令に違反したときは、その者に対し船員手帳の提出を命じ、その証印を抹消することができるほか、この規定により証印を抹消され、その日から1年を経過しない者に対しては、この証印をしないことができます。
特定海域運航責任者
船舶所有者は、南極海域(南緯60度以南の海域)又は北極海域(北緯58度西経四42度の点、北緯64度37分西経35度27分の点、北緯67度3.9分西経26度33.4分の点、北緯70度49.56分西経8度59.61分の点、北緯73度31.6分東経19度1分の点及び北緯68度38.29分東経43度23.08分の点を順次結んだ線、イリピルスコエの陸岸の北緯60度の点からエトリン海峡を通る陸岸まで90度に引いた線、ハドソン湾西岸の北緯60度の点と北緯60度西経56度37.1分の点を結んだ線、同点及び北緯58度西経42度の点を結んだ線並びに北緯60度以北の陸岸により囲まれた海域)を航行する船舶には、国土交通大臣が定める基準に適合する場合を除き、海域の特性に応じた運航に関する業務を管理すべき職務を有する者(特定海域運航責任者)として、これらの海域の海氷の状況(海氷が存在しない場合を除く)に応じ、それぞれ下表の特定海域運航責任者の資格の認定をした旨の証印を受けている者を乗り組ませる必要があります。
| 海氷の密接度が10分の1未満である特定海域 | 特定海域航行船舶の船長及び甲板部の当直を行う職員 | 乙種特定海域運航責任者 | 特定海域を安全に航行するための甲板部の航海当直部員の職務の指揮監督 |
| 上記海域以外の特定海域 | 特定海域航行船舶の船長及び一等航海士又は運航士(四号職務) | 甲種特定海域運航責任者 | 特定海域を安全に航行するための指揮監督、非常の場合における適切な措置の実施及びこれらの業務に関する記録の作成 |
| 特定海域航行船舶の甲板部の当直を行う職員(一等航海士及び運航士(四号職務)を除く) | 乙種特定海域運航責任者 | 特定海域を安全に航行するための甲板部の航海当直部員の職務の指揮監督 |
地方運輸局の事務所の長は、特定海域運航責任者の資格の区分ごとに、下表の要件に適合する者又は要件と同等の能力を有することを証する条約の締約国が発給した条約に適合する海域の特性に応じた運航に関する資格証明書(締約国特定海域運航責任者資格証明書)を受有する者であって国土交通大臣が告示で定める基準に適合するものについてこの認定を行い、その者の船員手帳に認定をした旨の証印をします。
この認定の有効期間は、認定を受けた日から起算して5年を経過する日(締約国特定海域運航責任者資格証明書を受有する者であって国土交通大臣が告示で定める基準に適合しているものに係る最初の認定にあっては、認定を受けた日から起算して5年を経過する日又は締約国特定海域運航責任者資格証明書が効力を失う日のいずれか早い日)までとされており、更新を受けようとする者は、原則として有効期間が満了する日前6か月以内に更新を申請する必要があります。
| 甲種特定海域運航責任者 | ①乙種特定海域運航責任者の資格の認定をした旨の証印を受けていること ②申請日以前5年以内に、特定海域航行船舶において、船長又は甲板部の当直を行う職員として2か月以上従事した経験を有すること ③申請日以前5年以内に、特定海域航行船舶の安全運航等に関する講習であって国土交通大臣の登録を受けた講習の課程を修了したこと |
| 乙種特定海域運航責任者 | 申請日以前5年以内に、特定海域航行船舶が安全に運航するための基本的な措置に関し国土交通大臣が告示で定める基準に適合する講習の課程を修了したこと |
救命艇手
船舶所有者は、平水区域を航行区域とする船舶以外の旅客船又は旅客船以外の最大搭載人員100人以上の船舶については、乗組員の中から救命艇手規則に定める員数の救命艇手(救命艇手適任証書を受有する者に限る)を選任する必要があります。
旅客船の乗組員
船舶所有者は、非常配置表を定めるべく旅客船には、下表の事項を内容とする教育訓練であって国土交通大臣が告示で定める基準に適合するものを修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませることはできません。
また、旅客船の船舶所有者は、その旅客船の乗組員に対し、5年以内ごとにこれらの教育訓練を実施する義務を負います。
| ロールオン・ロールオフ旅客船 | ①旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 ②荷役に関する事項 ③水密の保持に関する事項 |
| ロールオン・ロールオフ旅客船以外の旅客船 | 旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 |
高速船の乗組員
船舶所有者は、特定高速船又は水中翼船及びエアクッション艇(特定高速船を除く)には、下表の事項を内容とする教育訓練であって高速船コードに従って告示で定める基準に適合するものを修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませることはできません。
また、特定高速船の船舶所有者は、その特定高速船の乗組員に対し、2年以内ごとにこれらの教育訓練を実施する義務を負います。
なお、特定高速船の船舶所有者は、その実施する教育訓練の内容を記載した書類を提出して、教育訓練が告示で定める基準に適合していることについて、所轄地方運輸局長の承認を受ける必要があります。
| 船長及び甲板部の職員 | ①船舶の特性及び航行上の条件に応じた操船方法に関する事項 ②操舵設備その他の船舶の航行のために必要な設備(機関を除く)の操作に関する事項 ③脱出設備、排水設備、救命設備及び消防設備の操作に関する事項 ④旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 ⑤船舶の復原性を確保するために必要な事項 |
| 機関部の職員 | ①機関の操作に関する事項 ②脱出設備、排水設備、救命設備及び消防設備の操作に関する事項 ③旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 ④船舶の復原性を確保するために必要な事項 |
| 上記の者以外の者 | ①脱出設備、排水設備、救命設備及び消防設備の操作に関する事項 ②旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 ③船舶の復原性を確保するために必要な事項 |
船舶所有者による小型船舶の乗組員に対する教育訓練
第船舶所有者は、海上運送法第23条の2に規定する旅客運送船舶運航事業の用に供する総トン数20トン未満の船舶(旅客事業用小型船舶)の乗組員(その船舶に乗り組ませようとする者を含む)を職務に従事させようとする場合であって乗組員等がそれぞれ下表のいずれかに該当するときは、その乗組員等について、船舶が航行する海域の特性に応じた操船に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練(特定教育訓練)を実施し、特定教育訓練の実施年月日、特定教育訓練を受けた者の氏名、特定教育訓練の内容(保存する必要があるものとして国土交通大臣が告示で定める内容に限る)及び第一種特定乗組員がその旅客事業用小型船舶の航行する海域の特性に関して十分な知識を有していることその他の国土交通大臣が告示で定める基準に適合していることを確認をした場合にあってはその結果に関する記録を作成し、特定教育訓練を終了した日から3年間これを保存する必要があります。
| 船長 | ①その旅客事業用小型船舶において初めて船長の職務(第一号職務)に従事するとき ②その旅客事業用小型船舶に係る船舶所有者の変更があったときは、その変更後その旅客事業用小型船舶において初めて第一号職務に従事するとき ③その旅客事業用小型船舶の航行する海域(海域が2以上ある場合にあってはそれぞれの海域)において初めて第一号職務に従事するとき ④その旅客事業用小型船舶において最後に第一号職務に従事した日から国土交通大臣が告示で定める期間を経過した後、その旅客事業用小型船舶において初めて第一号職務に従事するとき ⑤その旅客事業用小型船舶の航行する海域(海域が2以上ある場合にあってはそれぞれの海域)において最後に第一号職務に従事した日から国土交通大臣が告示で定める期間を経過した後、その海域において初めて第一号職務に従事するとき | ①船舶の航行する海域の特性に関する事項 ②輸送の安全の確保のための定めの遵守に関する事項 ③発航前の検査に関する事項 ④見張り、操船その他の船舶の安全な航行に必要な業務に関する事項 ⑤旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 |
| 甲板部の職員又は部員 | ①その旅客事業用小型船舶において初めて甲板部の職員又は部員の職務(第二号職務)に従事するとき(その旅客事業用小型船舶において第一号職務に従事したことがある場合を除く) ②船舶所有者の変更があったときは、その変更後その旅客事業用小型船舶において初めて第二号職務に従事するとき(その変更後にその旅客事業用小型船舶において第一号職務に従事したことがある場合を除く) ③その旅客事業用小型船舶の航行する海域(海域が2以上ある場合にあってはそれぞれの海域)において初めて第二号職務に従事するとき(その海域において第一号職務に従事したことがある場合を除く) ④その旅客事業用小型船舶において最後に第一号職務に従事した日又は最後に第二号職務に従事した日のいずれか遅い日から国土交通大臣が告示で定める期間を経過した後、その旅客事業用小型船舶において初めて第二号職務に従事するとき ⑤その旅客事業用小型船舶の航行する海域(その海域が2以上ある場合にあってはそれぞれの海域)において最後に第一号職務に従事した日又は最後に第二号職務に従事した日のいずれか遅い日から国土交通大臣が告示で定める期間を経過した後、その海域において初めて第二号職務に従事するとき | ①船舶の航行する海域の特性に関する事項 ②輸送の安全の確保のための定めの遵守に関する事項 ③発航前の検査に関する事項 ④見張り、操船その他の船舶の安全な航行に必要な業務に関する事項 ⑤旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 |
| 上記の者以外の者 | ①その旅客事業用小型船舶において初めて船長又は甲板部の職員若しくは部員の職務(第三号職務)に従事するとき(その旅客事業用小型船舶において第一号職務又は第二号職務に従事したことがある場合を除く) ②その旅客事業用小型船舶に係る船舶所有者の変更があったときは、その変更後その旅客事業用小型船舶において初めて第三号職務に従事するとき(その変更後にその旅客事業用小型船舶において第一号職務又は第二号職務に従事したことがある場合を除く) ③その旅客事業用小型船舶の航行する海域(海域が2以上ある場合にあってはそれぞれの海域)において初めて第三号職務に従事するとき(その海域において第一号職務又は第二号職務に従事したことがある場合を除く) ④その旅客事業用小型船舶において最後に第一号職務に従事した日、最後に第二号職務に従事した日又は最後に第三号職務に従事した日のいずれか遅い日から国土交通大臣が告示で定める期間を経過した後、その旅客事業用小型船舶において初めて第三号職務に従事するとき ⑤その旅客事業用小型船舶の航行する海域(海域が2以上ある場合にあってはそれぞれの海域)において最後に第一号職務に従事した日、最後に第二号職務に従事した日又は最後に第三号職務に従事した日のいずれか遅い日から国土交通大臣が告示で定める期間を経過した後、その海域において初めて第三号職務に従事するとき | ①輸送の安全の確保のための定めの遵守に関する事項 ②旅客の招集及び誘導、救命胴衣の着用の支援その他の非常時における旅客の安全の確保に関する事項 |
★第一種特定乗組員に対する確認
船舶所有者は、その旅客事業用小型船舶において船長の職務に従事させようとする者(その者が乗り組む旅客事業用小型船舶の航行する海域及び航海の態様を勘案して国土交通大臣が告示で定める者に限る=第一種特定乗組員)について特定教育訓練を実施するときは、第一種特定乗組員がその旅客事業用小型船舶の航行する海域の特性に関して十分な知識を有していることその他の国土交通大臣が告示で定める基準に適合していることを確認する必要があります。
特定小型船舶所有者による特定小型船舶の乗組員に対する教育訓練等
旅客事業用小型船舶であって、総トン数5トン未満の船舶又は湖、川若しくは港のみを航行する船舶(特定小型船舶)の所有者(船舶共有の場合は船舶管理人、船舶貸借の場合は船舶借入人)が特定小型船舶の乗組員(特定小型船舶に乗り組ませようとする者を含む)を職務に従事させようとする場合についても、特定教育訓練を実施し、その記録を作成・保存する義務があります。
船内苦情処理手続
船舶所有者は、苦情の申出方法、苦情処理の体制及び方法、苦情処理結果の伝達方法、苦情処理結果に不服がある場合の申立方法、苦情処理手続に関する記録の作成及び保存の方法並びに苦情を申し出た船員に対する相談、助言その他の援助に関する体制について、船員の苦情が公正かつ適正に処理されるよう船内苦情処理手続(船員が航海中に船舶所有者に申出をした船員法、労働基準法、労働に関する法律(船員法及び労働基準法を除く)及びこれらに基づく命令に規定する事項並びに船舶の居住設備に関する事項に関する苦情を処理する手続き)を定める必要があるほか、雇入契約が成立したときは、遅滞なく、船内苦情処理手続を記載した書面を船員に交付する義務を負います。
また、船員から航海中に苦情の申出を受けた場合にあっては、船内苦情処理手続に定めるところにより、苦情を処理する必要がありますが、苦情の申出をしたことを理由として、船員に対して解雇その他の不利益な取扱いをすることはできません。
戸籍証明
船員、船員になろうとする者、船舶所有者又は船長は、船員又は船員になろうとする者の戸籍について、戸籍事務を管掌する者又はその代理者に対し無償で証明を請求することができます。
船舶職員及び小型船舶操縦者法の一部の適用除外
船舶職員及び小型船舶操縦者法第三章第五節の規定は、船長については、適用されません。
罰則
船員法に規定のある罰則は下表のとおりです。このうち船長に適用すべき規定は、船長に代わってその職務を行う者についても適用されます。
| 船長に対する罰則 | 船長が船員法第12条の規定(船舶に危険がある場合における処置)に違反したとき | 5年以下の拘禁刑 |
| 船長が船員法第13条の規定(船舶が衝突した場合における処置)に違反して人命及び船舶の救助に必要な手段を尽くさなかったとき | 3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | |
| 船長がその職権を濫用して、船内にある者に対し義務のない事を行わせ、又は行うべき権利を妨害したとき | 2年以下の拘禁刑 | |
| ①船長が船員法第14条の規定(遭難船舶等の救助)に違反したとき ②船長が船舶を遺棄したとき ③船長が外国において海員を遺棄したとき | 2年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | |
| ①船長が船員法第8条、第10条、第11条、第14条の3第1項、第16条、第17条、第50条第2項、第55条又は第66条の2の規定に違反したとき ②船長が船員法第9条の規定に違反して予定の航路を変更したとき ③船長が船員法第13条の規定に違反して告げなかったとき ④船長が船員法第15条の規定に基づく国土交通省令に違反して水葬に付したとき ⑤船長が船員法第18条の規定による書類を備え置かず、又は同条第1項第2号若しくは第3号の書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき ⑥船長が船員法第19条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき ⑦船長が船員法第50条第3項の規定に違反して、船員手帳に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき | 30万円以下の罰金 | |
| 海員に対する罰則 | 海員が上長に対し暴行又は脅迫をしたとき | 3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| ①海員が船員法第12条から第14条までに規定する場合において、船長が人命、船舶、航空機又は積荷の救助に必要な手段をとるのに当たり、上長の命令に服従しなかったとき ②海員が船員法第39条第3項に規定する場合において、人命、船舶又は積荷の応急救助のために必要な作業に従事しなかったとき ③海員が外国において脱船したとき | 1年以下の拘禁刑 | |
| 船員に対する罰則 | 船員が船員法第81条第4項の規定に違反したとき | 30万円以下の罰金 |
| 船舶所有者に対する罰則 | 船舶所有者が船員法第85条第1項若しくは第2項、第88条又は第88条の6の規定に違反したとき | 1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 船舶所有者が船員法第33条、第34条第1項、第35条、第44条の2第1項若しくは第2項、第44条の3第1項若しくは第3項、第45条、第46条、第47条第一項若しくは第2項、第49条、第62条、第63条、第65条の2第3項(第88条の2の2第5項において準用する場合を含む)、第66条(第88条の2の2第4項及び第5項並びに第88条の3第4項において準用する場合を含む)、第69条、第74条、第78条、第80条、第81条第1項から第3項まで、第82条、第86条第1項、第87条第1項若しくは第2項、第88条の2の2第1項、第88条の3第1項、第88条の4第1項、第89条、第91条から第94条まで、第102条第2項、第117条の2第1項、第117条の3第1項、第117条の4第1項、第118条第1項、第118条の2から第118条の4まで若しくは第118条の6第4項の規定に違反し、又は第73条の規定に基づく国土交通省令に違反したとき | 6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 | |
| ①船舶所有者が、偽りその他不正の行為により海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付、再交付又は書換えを受けたとき ②船舶所有者が、船員法第100条の4の規定による検査を受けないで、海上労働証書の交付を受けた船舶を国際航海に従事させたとき ③船舶所有者が、船員法第100条の7の規定に違反して、特定船舶を国際航海に従事させたとき | 200万円以下の罰金 | |
| 船舶所有者が船員法第100条の10第1項又は第2項の規定による命令に違反したとき | 50万円以下の罰金 | |
| ①船舶所有者が船員法第34条第2項、第36条第3項、第53条第1項若しくは第2項、第54条、第56条、第58条第1項、第67条第2項、第82条の2第1項、第83条第1項、第85条第3項、第88条の7又は第103条の規定に違反したとき ②船舶所有者が船員法第32条第1項、第2項(同条第4項において準用する場合を含む)若しくは第3項、第36条第1項若しくは第2項、第53条第3項又は第118条の6第2項の規定に違反して、書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付したとき ③船舶所有者が船員法第34条第4項の規定による船員の請求にかかわらず、貯蓄金を返還しなかったとき ④船舶所有者が船員法第37条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき ⑤船舶所有者が報酬支払簿若しくは記録簿を備え置かず、又は報酬支払簿若しくは記録簿に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき ⑥船舶所有者が船員法第100条の8の規定に違反して、特定船舶を国際航海に従事させたとき ⑦船舶所有者が船員法第111条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき | 30万円以下の罰金 | |
| 特定小型船舶所有者に対する罰則 | 特定小型船舶所有者が船員法第112条第2項又は第118条の5第1項の規定に違反したとき | 6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 登録検査機関の役員又は職員に対する罰則 | 登録検査機関が船員法第100条の26第1項の規定による検査業務の停止の命令に違反したとき | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| ①登録検査機関(外国登録検査機関を除く)が船員法第100条の20の規定による許可を受けないで検査業務の全部を廃止したとき ②登録検査機関(外国登録検査機関を除く)が船員法第100条の24の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき | 30万円以下の罰金 | |
| その他 | ①船員法第101条第2項又は第108条の5第3項の規定による処分に違反したとき ②船員法第120条の3第4項の規定による処分に違反したとき | 6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
| ①自己の船員手帳を棄損したとき ②船員法第50条第4項の規定に基づく国土交通省令に違反したとき ③偽りその他不正の行為により船員手帳の交付、再交付、訂正又は書換えを受けたとき ④他人の船員手帳を行使したとき ⑤船員法第100条の25の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき ⑥船員法第109条の規定に違反したとき ⑦船員法第112条第1項に定める場合において虚偽の申告をしたとき ⑧船員法第120条の3第1項の規定による立入りを拒み、妨げ、又は忌避したとき ⑨船員法第120条の3第2項の規定による検査若しくは審査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき ⑩船員法第97条の規定による就業規則の作成若しくは届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき ⑪船員法第98条の規定に違反したとき ⑫船員法第99条の規定による命令に違反したとき ⑬船員法第101条第1項の規定による命令に違反したとき ⑭船員法第107条第1項の規定による出頭の命令に応ぜず、帳簿書類を提出せず、若しくは虚偽の記載をした帳簿書類を提出し、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき ⑮船員法第百十八条の五第二項の規定による命令に違反したとき | 30万円以下の罰金 | |
| 船員法第100条の19第1項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第2項各号の規定による請求を拒んだ者(外国登録検査機関を除く) | 20万円以下の過料 |
両罰規定
両罰規定とは法人等の団体の役員や従業員が業務に関して違法行為を行った場合に行為者本人だけでなく団体に対しても罰則(主に罰金刑)を科すことを定めた規定ですが、船員法の罰則にも下表のとおり両罰規定が採用されています。
| 船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の従業者 | 船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の従業者が船舶所有者の業務に関し船員法第129条から第131条まで、第132条第1項又は第133条第2項の違反行為をしたときは、その行為者が罰せられるほか、その船舶所有者に対しても各本条の罰金刑が科されます。 |
| 特定小型船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の従業者 | 特定小型船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の従業者が特定小型船舶所有者の業務に関し船員法第百131条の2、第132条第1項(第118条の5第3項に係る部分に限る)及び第133条第2項(第6号に係る部分に限る)の違反行為をしたときは、その行為者が罰せられるほか、その特定小型船舶所有者に対して各本条の罰金刑が科されます。 |
| 船員法第97条第3 項に規定する団体の代表者、代理人、使用人その他の従業者 | 船員法第97条第3 項に規定する団体の代表者、代理人、使用人その他の従業者がその団体の業務に関し船員法第133条第2 項(第4号を除く)の違反行為をしたときは、その行為者が罰せられるほか、その団体に対して同条の刑が科されます。 |
まとめ
船員法における就業規則の規定は、条文こそ少ないものの、船員労務における労働条件の根幹となる分野です。特に絶対的記載事項といわれる重要事項は、文言だけ覚えても意味はなく、船員労務の特殊性を理解していないと実務に当たることは困難です。学習する際も、実務に当たることを想定しながら、各章を改めて見直し、横断的に学んでいくようにしましょう。


