月と海のただならぬ関係

不定期でお送りしている「海と船の雑学」ですが、超久々に更新する今回は、いち海事代理士という立場を離れ、対宇宙という壮大なスケールで海の神秘を語っていこうと思います。

「YouTubeの見過ぎwww」

なんていう芯を食った妥当なご意見はお控えいただき、生温かい眼差しで読み進めていただければ幸いです。

月と海の関係性

割と有名なお話しではありますが、海の活動は月の力に支配されています。具体的には、月の引力が海水を引っ張ることによって、月に面している側の海水面が盛り上がることで満潮という現象が起こります。また、その反対側の海水面では、遠心力という逆に引っ張る力が作用し、月に面していないにも関わらず、同じく満潮が発生します。 

直線走行中のバスが急カーブに差し掛かったとき、バス内に立つ人はどうなるでしょう。バスが右に曲がれば体は左に、左に曲がれば体は右に傾くはずです。そう、これこそが遠心力です。(ドヤ顔)

なお、海水が両面に引っ張られると、当然のことながら真ん中の海水面は潮位が下がりますが、これが干潮という現象です。

地球を母とすれば、月はその弟で、海は娘。自由奔放な母の弟に惹かれ、淡い恋心を翻弄される娘、、、なんていう禁断の恋の構図に見立てると、私の文学的妄想もはかどりますよね。笑

出典元:気象庁公式サイト

ちなみに太陽の引力も絶大ですが、月よりもはるか遠くにあるため、潮の満ち引きに与える影響力は月の約半分になります。満月や新月の時には、月、地球、太陽が直線上に並び、月と太陽の引力が重なっていつもより海面の変化が大きくなりますが、これを大潮と呼んでいます。また、上弦や下弦の半月の時には、地球から見て月と太陽は直角の方向にあり、月と太陽の引力が打ち消し合うため、海面の変化はいつもより小さくなりますが、これを小潮と呼んでいます。

出典元:気象庁公式サイト

もしも月が無くなったら

さて、少し論点を変えてみて、月が無くなってしまったらどうなるかについて考察してみましょう。

月明かりが無くなる

都会に住んでいて、普段から月明かりを意識する方は少ないように思います。ただ、月明かりが無くなると、街灯のない山道や林道の移動、海の航行は困難になることでしょう。芸術や文明的な側面から見ても、古今東西、月明かりがもたらした文化も多く見受けられます。月見の習慣もなくなり、そうすると月見団子や月見蕎麦も存在意義が薄れて売れなくなり、人類の情緒も今より刺々しくなるかも知れません。

地球の自転軸の傾きが変わる

地球の自転軸の傾きは一定に保たれていますが、ここにも月の引力が関係しています。もし、月の引力がなければ、地球の自転軸の傾きは極端に不安定となり、気候も大きく変動するだろうとされています。具体的には、この変動に伴って、四季、昼夜、気温などは完全にバランスが崩壊してしまうと言われています。

1日が8時間となる

自転軸のみならず、月の引力は地球の自転速度にも影響を及ぼしています。要するに月の引力が地球の自転速度をセーブする役目を果たしており、これが無くなることで速度は速まり、1日は現在の3分の1の8時間程度になってしまうとされています。また、空気の流れも速くなり、地上は絶えず時速数百kmの強風が荒れ狂う環境にさらされることになるでしょう。

大気の構成が変わる

自転速度は、地球上の大気にも影響を及ぼします。例えるなら、ミキサーに流体を入れて撹拌(かくはん)したときのイメージです。ミキサーの速度が速いときと遅いときでは、出来上がった成果物の構成に違いが出ることはお分かりいただけると思います。また、大気の構成が変わってしまうことで、地球上の生命を維持するためのバランスも崩壊するといわれています。

おまけ

この話題をしていて思い出すのは、7つの玉を集めると何でも願いを叶えてくれる龍が現れるというあの物語です。劇中、亀の甲羅を背負った何とか仙人が月を破壊するシーンが出てくるのですが、これを知ってから振り返ってみると、「亀のじいさん、余計なことをしてくれたもんだ。」とつくづく考え込んでしまいます。

まとめ

いずれにせよ月の恩恵は絶大です。潮の満ち引きのみならず、人類や地球そのものにとって、月は生命の源といってもいいでしょう。

それにしても、海の雑学をお伝えしようと投稿したつもりが、何だかかなり月寄りの話しに脱線してしまいました。もちろん海も、我々にとって大いなる存在であることは間違いありません。

私が言いたいことは、普段何気なく「そこにある存在」が、如何に重要であるかということです。この記事をきっかけに、皆さまが普段意識していない事象に目を向けてくださるようになったのであれば幸いです。その上で海事代理士当事務所のことも時折思い出していただければ尚幸甚です。笑