ドーナツ穴と海の男
飲食大好き海事代理士としてはもちろん甘いものも守備範囲です。良いか悪いかは別として、私の中で塩分と糖分は正に表裏一体。塩分を摂った後はもれなく糖分を摂取したくなります。
最近は「映え」の良いドーナツも多いので店内には若い女性客の姿も目立ちます。そんな中齢40を超えたおじさんがキョロキョロと周りを気にかけながら申し訳なさそうにドーナツを注文するわけです。
「エ、エンゼルクリーム2個…」
これが少し前までの私の姿。
ですがスイーツ大好き中高年男性の皆さまご安心ください。今からお伝えするトリビアを知れば、これから堂々とドーナツ屋に並ぶことができるはずです。
そして何故に海事代理士たる私がこのテーマにトライしたのかその理由もご理解いただけるように思います。
ドーナツの語源
ドーナツは「ドゥ」と「ナッツ」の2つの単語から構成されます。「ドゥ」はパン生地や小麦粉を練ったもの、「ナッツ」はクルミの実を指します。
食用油や砂糖がまだ貴重だった時代、ドーナツは高級品であり製造するのは誕生祭などの特別な日に限られていました。そしてドーナツを製造するときに、より高級感を増すために揚げた生地の上にクルミの実を乗せていたことがこの名称につながったそうです。
他方、諸説入り乱れて面白いのが語源の世界。少数派ながら一押ししたいのが、「ナッツ」が「ナット」を語源とするという説です。ボルトとナットのあの「ナット」です。言われてみると、あの穴が何となくそれっぽく見えてくるのが面白いところです。まぁこれは都市伝説レベルのお話しではあります。
ちなみに戦時中は「ドーナツ」も敵性語としてその呼称を禁止されていたので、代わりに「砂糖天麩羅」と呼んでいたそうです。
ドーナツの発祥と形状
ドーナツの起源がオランダに伝わる円形の揚げ菓子にあることは間違いないそうですが、これがアメリカ新大陸へ渡り定着して現在に至ります。当時のアメリカではクルミが入手困難であったため、それを使う代わりとして真ん中に穴を空けたと伝えられています。
めでたし。めでたし。
いやいや、ここで終わったらそもそも海事代理士がドーナツを語る意味はありません。ここで幕をひけばそれは単なるスイーツブログです。
そこでいよいよ次章では、いよいよ本テーマの根幹たる「ドーナツと海の男」の真髄に迫ってみたいと思います。
ドーナツと海の男
19世紀半ばのアメリカに、ハンソン・グレゴリーという名前の船長がいました。彼が子供のころ、母親が油でお菓子を揚げてくれていました。ところがこのお菓子は中心部まで火が通っていなかったのでいつも生焼けの状態でした。一計を案じた彼が真ん中をくり抜いて揚げてもらうと、しっかり全体に火が通ったおいしいお菓子になりました。
彼がドーナツの穴にこだわった理由はこれだけではありません。彼がドーナツの穴にこだわった最大の理由、それは操舵輪(船のハンドル)に通して航海中いつでも食べれるようにするために最適な形状だったからです。
すなわちあの形状をしたドーナツは、荒々しい海の男が厳しい航海のさなかひとときの安らぎを得るために開発したアイデア商品だったというわけです。
なお、これらの功績により、ハンソン・グレゴリーは「リングドーナツの父」とされるようになり、現在もその記念碑がメイン州ロックポートに建立されています。
まとめ
ここまでご覧いただければスイーツ好き中高年男性の皆さまも、随分とドーナツ店の敷居が下がったのではないかと思います。そしてきっと誰かに話したくなったのではないかと思います。これでもまだ好奇心を埋めることができない皆さまにはもうひとつとっておきのトリビアを捧げます。
アメリカにはミスタードーナツが1店舗しかない。
こちらのトリビアも補足しておきますので、ドーナツ穴のトリビアとともにどうぞご自由にお使いください。